DMAIC: 改善段階の4ステップ – 前編【プロジェクトの前半レビュー】(リーンシックスシグマ)
DMAICの改善段階は4ステップで出来ますが、この前編では最初の2ステップの「1. 今までの分析段階までの成果物のおさらいをする。」と「2. 全体最適化が達成された新しい業務フローの設計をする。」を解説しています。今までのプロジェクトの大きな流れを理解することも出来ます。
(動画時間:4:34)
改善段階の四ステップ
こんにちは、リーンシグマ、ブラックベルトのマイク根上です。業務改善コンサルをしています。
今日は久々にDMAICの話で、プロジェクトの本番の改善段階の手順を説明します。改善段階は次の四つのステップで行えます。
- 今までの分析段階までの成果物のおさらいをする。
- 全体最適化が達成された新しい業務フローの設計をする。
- 新業務フローにスムーズに移る移行計画書を作成する。
- PDCAサイクルを回しながら移行計画を完了する、です。
長いので動画を二回に分けました。⇒「DMAIC: 改善段階の説明 – 後編 改善段階の4ステップ【新フローへの移行計画の立て方】(リーンシックスシグマ)」
率直に言って、その前の分析段階まではこの改善段階の為の準備段階でした。実際にプロジェクトの半分以上の時間を改善段階に費やします。
分析段階までは、プロジェクトマネージャには高い分析能力が要求されますが、この改善段階では、高い創造性とコミュニケーション能力が問われます。
1.「今までの分析段階までの成果物のおさらいをする」
全ての作成した成果物を見直しますが、主要なものをここで上げてみましょう。それぞれ関連記事のリンクがありますので、クリックしてそれらをご覧になって下さい。
定義段階からプロジェクト憲章です。プロジェクトの目的と目標を再確認しましょう。⇒「プロジェクト憲章の書き方【エクセルテンプレート】 プロジェクトの企画書」
それと対象業務フローの現状把握と価値無価値分析の結果を見るための物と情報の流れ図。⇒「5ステップ、物と情報の流れ図(バリューストリームマップ)の書き方【エクセルテンプレート】」
測定段階で確定したCTQ、最重要品質特性を定期的に測定し、達成度合いを確認しながらプロジェクトを進めます。⇒「DMAIC:測定段階の説明-プロジェクトのKPIの設定の仕方 【お客の声との関係】」
サービス業務のプロジェクトの場合はこれが出来ない時の方が多いですね。少なくとも、CTQツリーを作成し、お客の要求をサービス提供側の品質特性への落とし込みはやって下さい。「お客様の声を120%活かすには?CTQツリーを使いましょう!【エクセルテンプレート】」
現状把握の為の各種データ分析から算出した最重要課題のバイタルフューの確認をします。これにはパレート分析が代表例です。⇒「パレート図の作り方: データマイニングの最初の第一歩はこれ!【エクセルテンプレート】」
そして分析段階で作成した特性要因図から課題の根本原因を確認することで課題の解決策が自ずと出すことが出来ます。⇒「4ステップ、 特性要因図となぜなぜ分析の使い方【エクセルテンプレート】」
これらを全ておさらいして、次に何をやるか?
2.「全体最適化が達成された新しい業務フローの設計をする。」
この時に外注でのITシステムを探しがちですが、まず自分達で理想の新業務フローを設計してからでも遅くないです。そればかりか、最終的には早く安く済みます。そうでなければ、ITシステムを現在の非効率な業務フローに適応する事になので、そのプロジェクトの失敗の確立が高くなります。
では、新業務フローの設計をどうやるか?ここでまたSIPOC分析をしてから物と情報の流れ図を作成すると良いでしょう。これについては以前の動画を必ず見て下さい。この動画では既存の業務フローが対象ですが、新しい業務フローに対しても同じように出来ます。
<<関連記事>>
- フローチャートの前にまず物と情報の流れ図(VSM)を書こう【トヨタ生産方式】
- SIPOC分析: 業務フローを超最短で理解する【エクセルテンプレート】
- 5ステップ、物と情報の流れ図(バリューストリームマップ)の書き方【エクセルテンプレート】
僕は物と情報の流れ図をよく使いますが、このツールには一つ弱点が有ります。状況によって対処が変わる「判断」という概念を書き難い事です。入れてもいいですが、本来の「大局を見る」という目的を失ってしまいます。
物と情報の流れ図で新業務フローの全体像を利害関係者と確定した後に、より細部のフローを設計するのにフローチャートを使います。これには先ほどの「判断」の概念も表す事が出来ます。フローチャートのテンプレートもあります。⇒「5ステップ、フローチャートの作成の仕方【エクセルテンプレート】(リーンシックスシグマ)」
今までの僕の動画では、DMAICやデータ分析など、シックスシグマの内容が多かったですが、リーンのトヨタ生産方式の概念やツールの多くは、この新業務フローの設計のところで使えます。代表例では、カンバンやプルシステム、ポカヨケ、5S等です。下記のページでご紹介していきます。
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今日は改善段階の手順の前半を話しました。
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