フローチャートの前にまず物と情報の流れ図(VSM)を書こう【トヨタ生産方式】
トヨタが産んだ物と情報の流れ図は名前の通り物と情報の流れを主要対象にします。これを使うと業務フローのステップを細かくなり過ぎずに業務フローの全体像を書けるのです。英語でバリューストリームマップと言います。
(動画時間:4:16)
<<バリューストリームマップ動画シリーズ>>
- 第一話:← 現在この記事
- 第二話:SIPOC分析の仕方: 業務フローを超最短で理解する【エクセルテンプレート】
- 第三話:5ステップス、物と情報の流れ図(バリューストリームマップ)の書き方【エクセルテンプレート】
- 第四話:物と情報の流れ図の使い方:8つのムダ分析でムダの徹底排除【エクセルテンプレート】
- 第五話:SIPOC分析とバリューストリームマッピングを効率よくやるコツ
物と情報の流れ図はトヨタ生産方式が開発した。
こんにちは、リーンシグマブラックベルトのマイク根上です。
業務改善コンサルをしています。
今日はトヨタ生産方式が開発した
「物と情報の流れ図」の話をしたいと思います。
皆さん業務フローを図式化しようとした時に、
まずフローチャートを思い浮かべられると思いますが、
僕は現状分析をする時にはそれをほとんど使いません。
なぜならば細かくなり過ぎてすぐに書けないし、
書いたとしても、全体像が見えないんです。
その時に最適なのがこの物と情報の流れ図です。
英語でValue Stream Mapと言って直訳すると「価値の流れ図」です。
略してVSMと呼ぶ人もいます。
僕はトヨタの名称の方が分かり易くて好きです。
実際にこの物と情報の流れ図を見てみましょう。
⇒「バリューストリームマップ(物と情報の流れ図)の書き方【エクセルテンプレート】」
上図中の赤色の太線が物の流れで、青線が情報の流れです。
もう一つの主要部品は四角形で表したプロセスの各ステップです。
これにより、そのステップにどこからどんな物と情報が入ってきて、
そこからどんな物と情報が出力されて、
それぞれどこに行っているのかが良く分かります。
物と情報の流れ図の多くの使用用途
PDCAサイクルの話はさんざんしてますが、
Pはプランで先ずは計画を立てなさいと言うことですが、
その前に実は必ずしなければならない事が一つあります。
「現状把握、現状分析」です。
現状を知らずに理想の将来の計画を描けません。
⇒「PDCAサイクルの基本とPDCAサイクルを経営に活かす方法」
先ほども言いましたがこの手法では、
名前の通り物と情報の流れを主要対象にします。
すると細かくなり過ぎずに業務フローの全体像を描き、
俯瞰的にそれを見る事ができます。
細かく調査する必要も無く、短時間で作成出来ますので、
現状を知る目的のリーンシックスシグマプロジェクトの
定義段階にはちょうど良いのです。
プロジェクト憲章、WBS(作業分解図)そして
この物と情報の流れ図を利害関係者に見せれば
自分のプロジェクトが完全に明確になり公にすることが出来ます。
この現状の業務フローの物と情報の流れ図を見ながらやって頂きたいのが
「価値無価値分析」と「8つのムダ分析」です。
⇒「物と情報の流れ図の後、8つのムダ分析でムダの徹底排除の仕方【エクセルテンプレート】」
現場の責任者を集めて、この図を見ながら、
お客に価値を与えないムダがどこに潜んでいるかを見つけます。
また責任者間で認識が違う箇所も出てきたりします。
そういった箇所は大体毎日現場で問題が出ていますね。
もう一つのこの物と情報の流れ図の用途としては、
改善された理想の新プロセスを設計する事や、
既存の業務フローの改善ではなく、全く新しいプロセス設計でもよく使います。
先ほどと同じ理由で細かくなり過ぎずに全体像を議論出来るので、
新しいプロセスのフローチャートを書く前に
必ずこの流れ図を作成した方が良いです。
物と情報の流れ図作成の前準備のSIPOC分析
それでは実際にこの物と情報の流れ図の書き方に
入って行きたいのですが、実はすぐに書けません。
ブラックベルトはプロセス改善のプロフェッショナルですが、
各プロセスのことは全く知りません。現場の人に聞くしかないのです。
そこで現場の人達とSIPOC分析をするのが最適です。
⇒「SIPOC分析の仕方: 業務フローを超最短で理解する【エクセルテンプレート】」
日本ではSIPOC分析は知名度は低いですが、
これにより、プロセスの各ステップへ入力される物と情報と、
また出力される物と情報を全て簡単に整理出来るのです。
今日は物と情報の流れ図の説明とSIPOC分析のご紹介をしました。
次回の記事でSIPOC分析のもっと詳しい説明とその実習をしたいと思います。
⇒「SIPOC分析の仕方: 業務フローを超最短で理解する【エクセルテンプレート】」
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