業務改善と標準化を同時に実現:MS 365業務システム開発

全体最適化と部分最適化の本質的な違いと、どう使い分けるか?

  
全体最適化と部分最適化の本質的な違いと、どう使い分けるか?
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全体最適化と部分最適化の本質的な違いと、どう使い分けるか?

業務改善における全体最適化は大事ですが部分最適化も重要です。それらの長所と短所を比較して全体最適化と部分最適化をどう使い分けたら良いか、またそれらの本質的な違いをPL(損益計算書)で考えると分かる事を説明しています。

(動画時間:7:07)

リーンシックスシグマは常に全体最適化がゴール

こんにちは、リーンシグマ、ブラックベルトのマイク根上です。
業務改善コンサルをしています。

僕が参加している月に一度のカイゼンオンラインの会の前回の勉強会で
全体最適化と部分最適化について盛り上がったので、
今日はそれについて話します。
その議論は僕の次のプレゼンをやっていた時に起こりました。

ボトムアップは部分最適になる

1980年代、日本経済は絶好調でした。
日本の製造業の強みは現場の声を聞いたり、
QCサークル活動などのボトムアップ経営です。

しかし、このような個別の改善活動は大事ですが、
それだけでは会社全体としては部分最適で終わってしまい、
全体最適化へはおよび難いです。

そこでリーンシグマでは会社の戦略に基づいて
改善プロジェクトを立ち上げ、
トップダウン&横展開で改善を進め、
常に全体最適化がゴールとなります。

リーンシグマはトップダウン&横展開

全体最適化の達成方法:トップダウン&横展開

これを聞きまして
「業務改善の度に社内の全都合なんて考えてられないよ」
って思われた方もいたでしょう。
この部分をもう少し説明します。

リーンシグマで改善プロジェクトをする時に一番最初にやるのが、
会社の戦略に沿った、一番インパクトのある
優先順位が高い改善プロジェクトを立案、選定する事です。
つまりここで全社の都合を考えます。

重要な事は経営陣や全社的な改善に責任を持っている者が
普段から、会社の前線の事情を把握し、
問題意識を強く持っている事です。

そうでなければ効果的な優先順位の高いプロジェクトの選定ができません。

課題プロジェクトの選定後に、
改善手法のフレームワークであるリーンシグマのDMAICを始めるのです。
⇒「【DMAICとは:定義、測定、分析、改善、定着】業務フロー改善プロジェクトの必勝パターン」

プロジェクト憲章テンプレート

上図はプロジェクト憲章のテンプレートですが、
DMAICの最初の定義段階でプロジェクトの
目的、目標を定義し、今回改善する対象業務を明確にします。

ここで定義した事柄に対して全体最適化を行うわけです。
逆に言うとここで対象になってない事の都合は考えなくても良いのです。
⇒「プロジェクト憲章の書き方【エクセルテンプレート】 プロジェクトの企画書」

業務フローは通常、部門横断で流れていて、
前工程の他部署でやっている事が後工程の部署に影響していますので
各部署だけで改善活動をしていても、限界があり、
部分最適で終わってしまいます。

しかしリーンシグマのアプローチでは
その改善対象業務に関わる全部署から代表が来て
プロジェクトチームを結成し、その現場の人達と一緒に
DMAICの各段階を実施していくのです。

例えば僕がある改善プロジェクトに配属されたとしましょう。
僕はそのプロジェクトの目的/目標は分かっていて
DMAICを実施する知識とスキルを持っていますが、
その対象業務については全くの素人ですし、解決策も持っていません。
それを全て現場の人達から引き出していき、
DMAICの各段階を実施し、全体最適を達成します。

ですからトップダウンではなく、トップダウン&横展開なのです。
リーンシグマではこの様に業務フロー毎に全体最適化を行っていきます。

全体最適と部分最適の長所と短所

これで部分最適化より全体最適化が大事なのは分かりました。
それでは部分最適化は意味がないのでしょうか?
そんなことはありません。

まずは全体最適化と部分最適化のそれぞれの長所と短所を比べる事で
その二つのバランスの良い使い分けを考えてみましょう。

全体最適化の長所から見てみます。

  • 無駄を削減し最大の効率性と生産性を​目指せる。​
  • 問題や無駄がなくなり作業員の士気が上​がる。​
  • 個々の役割分担が明確になり、標準化も進む。

次に 全体最適化の 短所です。

  • 実施するのに時間もコストも掛かる。​
  • 規模が大きくなるので実施の難易度上が​る。​
  • 実施するのに適切な知識とスキルが必要。など

要は誰でも実施できるものではないという事ですね。

部分最適化の短所はこれです。

  • 全社的に見たら無駄が出る。
  • 更に生産性が上がる余地があるのを見逃す。など

部分最適化の長所は全体最適化の短所の逆の内容です。
つまり誰でも個人でも自分の仕事内や
部署の範囲内だけで実施できるのです。

全体最適 部分最適 比較表

全体最適と部分最適の違いはPLから分かる

僕にはマスターブラックベルトの
津吉政広さんという師匠がいます。
全体最適化と部分最適化の違いに関してご意見を頂きました。
⇒「津吉政広さんのブログ:SIGMA FRAMEWORK」

そしたら

「全体最適化と部分最適化の違いは損益計算書、
つまりPLで考えれば簡単ですよ」

と言われて、目から鱗が落ちました。

PLでは売上高、売上原価、人件費、その他各種経費等、
科目が沢山ありますよね。
それらのどれか一部分だけが改善される事が部分最適化なのです。

それに対してそれらを足したり引いたりした経営の結果である
経常利益が最大になるようにするのが全体最適化なのです。
分かり易いですよね。

例えば自分が実施した部分最適化によって少し売上が上がったら
それは努力に値するのです。
ですから全ての従業員は例え部分最適で終わったとしても
業務改善はした方が良いのです。

そして全社に責任を持つ人はそれらの部分最適化活動も把握し、
必要があればそれらを全体最適化プロジェクトに格上げをする事により
経常利益の最大化を行うのです。

プロジェクト経常利益計算フォーム

上図は先ほどの津吉さんからもらったエクセルシートです。
津吉さんの会社の業務改善プロジェクトでは
自分のプロジェクトで各PLの科目でいくらの向上が果たせて
最終的な経常利益がいくら向上するかを
計算しKPIの一つにするそうです。
すごいですよね。
津吉さん今回もありがとうございました。

今日の結論ですが、
全社に責任を持つ人は常に全体最適化を実施し、
それ以外の人も全社的には部分最適になったとしても
業務改善は常に実施するのが大事です。

しかし自分の権限内では全体最適になる様に頑張りましょう。

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