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トヨタの方針管理とは?目標管理との違いは?

    
トヨタの方針管理とは?目標管理との違いは?
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トヨタの方針管理とは?目標管理との違いは?

このHoshin Kanriは日本語の「方針管理」から来ていて、トヨタが1963年から始めた手法が世界的に広まって、今では英語になっています。そのトヨタの方針管理のやり方と通常の目標管理の違いについて書いています。

(動画時間:4:57)

トヨタの方針管理とは?

こんにちは、リーンシグマ、ブラックベルトのマイク根上です。
業務改善コンサルをしています。

今日はこのリクエストからです。

方針管理動画リクエスト

「マイクさん、’Hoshin Kanri計画’について教えてくれないか?」

Sheraz、リクエストありがとう。
他の皆さんもご質問や動画リクエストがあれば聞いて下さい。

このHoshin Kanri計画は日本語の「方針管理」から来ていて、
トヨタが1960年代から始めた手法が世界的に広まって、
「Hoshin Kanri」という名前で今では英語になっています。
トヨタの公式サイトでこう紹介されています。

トヨタのサイトから方針管理について

「基本方針」「長期方針」および「年度方針」の3部からなる
「会社方針」として明文化するとともに、
「会社方針」を各部門に展開し、
フォローする仕組みとして「方針管理」を整備した。

トヨタ自動車公式サイトから

トヨタでこの「方針管理」を1963年から
全社的に始めて現在まで続けています。

会社ではトップが今後その組織が
何をやって行くのかの方針を掲げます。
しかしそれが掛け声で終わってしまっている
会社も多々あるのではないでしょうか。

この「方針」をどのように「管理」して
その方針を達成するかのトヨタの方法論が素晴らしくて、
実用的なので世界で受け入れられているのです。

トヨタの方針管理は全社員の方針作りから

それではトヨタではそれを具体的に
どうやっているのでしょうか?
次のウェブサイトのページをご紹介します。

下の引用は元トヨタマンの青木幹晴さんのサイト
「元トヨタマンの目」のページからです。

会社方針は、毎年作成される。
社長方針が出されて、それを基に部方針が作成されて、
その部方針を基に課方針が作られます。
係長以下全社員が改善テーマとその達成目標を立案する。

すべての個別の改善テーマが達成できれば、
課方針の目標が達成できるようにする。
方針立案の際は、必ず上位者の決裁を受ける。

鈴木幹晴、「元トヨタマンの目」のサイトから

上級職から順に皆が出された方針に基づいた
自分の部署や自分の方針を作るのですから
受け身のままで居られる人はいなくなります。

人は与えられた計画よりも自分で作った計画の方が
断然やる気が出ますからこの方法は理に適っています。
これで文字通り全社員が同じ方向に向かって仕事に取組む事になるのです。

方針は上から下に流れてきましたが、
次のステップでは流れが逆になります。
前線の全従業員が自分の方針を達成したら
その課や部の方針が達成されて、
最終的に社長方針が達成される様に、
全方針を体系化する事が重要なのです。(下図参照)

全方針を体系化する

トヨタの方針管理もPDCAサイクルが土台になる

全社員が自分の方針を持って仕事をしていきますが、
トヨタの方針管理でもPDCAサイクルが土台になります。

半期と年度末に自分の取組みを
A3の紙一枚に書いて上司に報告します。
これが有名なA3報告書です。
⇒「問題解決や企画書としても使えるトヨタが産んだA3報告書【エクセルテンプレート】」

英語圏では「Hoshin Kanri Catch-ball」と言う言葉が有ります。
ここで上司は報告を聞くだけではなく、
感想やアドバイスをあげたり、
お互いにアイデアを出し合う事で、
面談の頻度と質を高めていけるのです。
双方向のキャッチボールの様にやりましょう。

また発表会を設けて改善アイデアと
ベストプラクティスの共有もします。
それが次の年の方針管理に活かされるのです。

方針管理と目標管理の違い

最後に方針管理と目標管理の違いについて話しましょう。
下の図を見て下さい。これはトヨタの財団法人のページから引用させてもらいました。
横軸が時間の経過で、縦軸がパフォーマンスの上達度です。

方針管理と目標管理の違い

図の引用元:トヨタ財団ウェブサイトから

日々目標を立ててPDCAサイクルを回して改善を図ってます。
これが目標管理でこの図では日常管理と呼んでいます。
これにより品質保証が強くります。

より戦略的にそのPDCAサイクルを
どの方向に向けるかが方針管理なわけです。
それにより全く新しい価値と質を創造することが出来るのです。

やっぱりトヨタってすごい会社ですね。
こういうノウハウも惜しみなく世界に発信していますから、
世界中から尊敬されるのです。

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