病院やクリニックの業務改善のご提案
米国での医療現場での最大目標は患者様の滞在時間の最小化です。それにはリーンシグマという手法を使うのが業界標準になっています。病院やクリニックのリーンシグマでの業務改善はどの様にやるかの具体的事例を書いています。
(動画時間:7:56)
ダウンロード ←これをクリックして「医療機関の業務改善のご提案PDFファイル」を無料でダウンロード出来ます。
米国の医療機関ではリーンシグマを使った業務改善は常識
こんにちは、リーンシグマ、ブラックベルトのマイク根上です。業務改善コンサルをしています。
最近医療関係の視聴者さんからリーンシグマを使って病院の業務改善ができないかお問合わせを頂きました。実は米国では医療機関でのリーンシグマの活用は常識になっています。
僕は2001年にアメリカに来ましたが、その頃は病院に行ったら日本もそうだと思いますがものすごく待ち時間が長かったです。それから数年後に同じ病院に久しぶりに行ったら全く待ち時間が無くてびっくりしたのを今でも覚えています。
後で分かったのがその病院でリーンシグマを使った業務改善がなされたからでした。今では各医療機関でリーンシグマの専門家を雇うのは常識になっています。
その業界ではこの本「Lean Six Sigma for Hospitals」訳して「病院のためのリーンシックスシグマ」は業界のバイブルになっています。
僕の知合いのマスターブラックベルトの津吉政広さんのブログでこの本の書評をされています。⇒「MBBの津吉政広さんのブログページ」こちらを読まれるとリーンシグマの手法が病院の業務改善に非常に相性が良いのが分かります。例えばこの部分です。
「基本的に、リーンシックスシグマの考え方と応用は、病院運営でも同じでした。いくつか違ったことは、対象(価値)が物(製品)から、人(患者さん)へ変わったこと、プロセスが製品の流れから、患者さんの流れに変わったこと、製品の完全性から、患者さんの安全性に変わったこと、製品の品質から、患者さんの満足度に変わったこと、などです。対象とする価値やその流れ(プロセス)が変わっても、リーンシックスシグマを使って、品質や安全を高めたり、コストを削減して利益を高める方法には変わりがありませんでした。」
米国での医療現場での最大目標は患者様のLOS(Length of Stay、滞在時間)の最小化
そこで、病院やクリニックのリーンシグマでの業務改善はどの様にやるかのご提案書PDFを作りました。今日はそれに沿って病院やクリニックの業務改善の進め方を学びましょう。⇒「医療機関の業務改善のご提案PDFファイルをダウンロード」
先ほど紹介した本でも書いてありますが、米国での医療現場での最大目標は患者様のLOS(Length of Stay、つまり滞在時間)の最小化です。もちろん、各医療機関によって個別の課題がありますので、それも対象にしますが、一般的にはこの「滞在時間」の最小化が最大目標になります。
なぜ患者様の「滞在時間」の最小化が一番大事なのでしょうか?それをする為には患者様の待ち時間の削減をします。これがそのまま患者満足度の向上に直結するからです。
すると病院の評判が上がり、また、ムダの削減もするのでコストも下がりますので、収益増になるのです。これは今までの多くの事例から明らかになっています。
もう一つ、医療現場での改善プロジェクトで多く見られるのは、現状では患者様の視点で診療フローがほとんど設計されていなくて、それを患者様目線で見直してムダの徹底排除をする事で、短期間で飛躍的な改善が多くできるという事です。
例えば患者様達に多くのテストを今までしていたかもしれませんが、これも患者さんを個別に見ていると不必要なテストも沢山あるかもしれません。
この様に慣例的にやっていることも患者さん目線で見直しムダを削減する事で、スピードを上げ、ミスやコストの削減を同時に実現できる事が実証されています。
病院やクリニックの業務改善へのDMAICの応用方法
それではこの改善プロジェクトをどのように進めるのでしょうか?リーンシグマではDMAICというプロジェクトを成功させるフレームワークがあります。⇒「【DMAICとは:定義、測定、分析、改善、定着】業務フロー改善プロジェクトの必勝パターン」
最初の半月で「定義段階」と「測定段階」を実施します。簡単に言うと、今回のプロジェクトを定義して、現状の診療フローマップを作り、今回の対象業務のKPIを設定し、その現状を数値的に測定します。
次の一カ月が「分析段階」で、現状の診療フローの問題点を洗い出し、その根本原因を探して、それを解決する新フローの設計とそれへの移行計画や業務システムの設計をします。
次の3カ月が「改善段階」で業務システムやダッシュボードの開発をし、新フローへの移行をします。
最後の一か月半が「定着段階」で新しい診療フローと業務システムの定着支援をします。もし次に改善するロケーションがある場合はそれへの展開計画もここで策定します。
この様に製造業の改善手法でしたDMAICが非製造業の業務改善でもそのまま使えるのです。
医療現場での具体的なムダの削減法
次のページでこのプロジェクトのポイントになる点や具体的なアクション例を記しています。
現状を知る手段としてQRコードと計測アプリを使います。実施日を決めてその日の患者様に入口でQRコードステッカーを渡します。そこで一度スキャンをして、受付や各診察ポイントでスキャンをする事でその時の時間とスキャンした場所がクラウドに保存されます。
そして全患者様の平均滞在時間、各診察ポイント前の待ち時間、待ち時間率等の現状を数値で知る事ができるのです。
医療機関特有のムダの削減ポイントとしてはこうです:
- 患者様にとって価値を生まない作業やテストを止める。
- 情報や備品が来る待ち時間のムダを削減。(並列診療フローに設計し直す)
- スタッフ間の作業配分のムリ、ムラをなくす。(作業の平準化、フローの見直し)
- Labへ送るテストのバッチを小さくする。(作業の平準化)
- 移動や物を探す時間のムダ(機材や場所の配置変えや整理整頓、色での管理)
- 動作のムダや二重作業のムダ(SOP、チェックリスト、ポスターの活用)
- 備品や薬品の過剰在庫を減らす。(過剰在庫が問題や他の在庫不足を隠す。)
これらはリーンシグマの価値無価値分析や8つのムダ分析で行えます。⇒「物と情報の流れ図の使い方:8つのムダ分析でムダの徹底排除【エクセルテンプレート】」
改善プロジェクトの成果を定着させる業務システムと経営ダッシュボードのご提案
この様にムダを削減した新しい診療フローを設計してもスタッフの教育や研修だけに頼ると移行が難しいし、後で昔の状態に戻ってしまう事も多々あります。そこでどの様に移行するかが次のページに書かれています。
まず基本的な考え方が「待ち時間の削減はスタッフの動作を速くさせるのではなく、あらゆるムダや遅延をなくし、人のフロー(患者様とスタッフ)と作業のフローを全体最適化する事で実現する。これがまた作業ミスの削減にもなります。」という事です。
そして新しい全体最適化したプロセスを設計してから、それを定着させるためのITプログラムや携帯アプリを開発します。
例えば、今まで紙とペンでやっていた作業をPowerAppsで携帯アプリにする事で作業負担の軽減と作業時間の短縮を実現しながら業務データがクラウド保存されてデータの二次利用が可能になります。
また、あちこちにあるエクセルに入っている重要データならお使いのファイルのままでボタンの追加でクラウド保存が可能です。
そしてPower Automateを使って今お使いのシステムのデータにも接続可能です。この業務システムで標準化をすると同時に飛躍的な業務改善ができるのです。
また、新業務システムからの全ての業務データをクラウド保存で一元化するので、管理者用経営ダッシュボード機能も作ります。これで、上級管理者もリアルタイムで運営状況を把握し、高速な経営PDCAサイクルを回せる様になれるのです。
Excel+SharePoint+PowerAppsの連携手法により短期間開発で過不足無い、完全カスタマイズなシステムになります。
この様にリーンシグマで全体最適化した業務フローを設計して、その新フローをExcel+SharePoint+PowerApps手法による業務システムや経営ダッシュボードで更なる改善効果を上げながらそれを定着する事ができるのです。
今回お見せしたPDFファイルを次のリンクからダウンロードできますので、皆さんの業務改善の参考にしてみて下さい。⇒「医療機関の業務改善のご提案PDFファイルをダウンロード」
また、僕が直接お手伝いする事もできますので次のリンクからお問合せ下さい。⇒「マイク根上の業務改善コンサルのお問合せ」
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