業務改善と標準化を同時に実現:MS 365業務システム開発

BOM(部品表)の基本とBOMの活用例【初心者用】

    
BOM(部品表)の基本とBOMの活用例【初心者用】
\ この記事を共有 /
BOM(部品表)の基本とBOMの活用例【初心者用】

BOMとは「Bill Of Material」の略語で、日本語では「部品表」です。このBOM(部品表)の基本、よく使う設計BOMと製造BOMの違い、またなぜ会社の成長には必須なのかを初心者でも分かり易く説明しています。

(動画時間:6:45)

BOM(部品表)とは何か?全ての会社で必要です。

こんにちは、リーンシグマ、ブラックベルトのマイク根上です。業務改善コンサルをしています。

今回はこの動画リクエストからです。

BOM(部品表)動画リクエスト

「製造業のBOMについての動画を出して頂けないでしょうか。」

indeiさん、リクエストありがとうございました。

「製造業のBOM」と言われていますが、まずBOMとは何でしょうか?これは「Bill Of Material」の略語で、日本語では「部品表」です。

しかし「部品表」だけだと響きが一般的過ぎて何を議論しているか分かりませんね。本やウェブページのタイトルには「BOM(部品表)」みたいに使われています。

また、「部品表」と聞くと製造業にしか関係ないと思れるかもしれませんが、飲食店や小売店、流通業など物を扱う会社は全て関係します。

例えばラーメン屋さんで考えてみましょう。ラーメンを作って売るためにはその食材を仕入れなければいけません。仕入れる前に食材の在庫の棚卸をしてから発注をします。この時に食材名、現在庫量、仕入れ先や電話番号が入った食材リストを作ったら棚卸作業の効率化ができます。この食材リストもBOMなのです。

食材リストBOM(購買BOM)

このラーメン屋さんが小さくて一店舗だけならこのBOMがいい加減でも問題になりませんが、店舗が大きくなったり、店舗数が増えてくると管理する事が増え、必要なBOMの種類が増えてきます。

例えば、コスト管理も効率的にしなければいけないので、メニュー毎に使用する食材をリスト化して使用量やコストを計算し、各メニューの原価を計算します。それを表にしたらBOMになります。専門的に言ったらこのBOMが設計BOMで、先ほどの発注のBOMが購買BOMになるのです。

設計BOMの説明

BOMは会社のDNA。BOMの有効活用が会社の成長速度に影響する。

お分かりのようにBOMがなければその会社の経営の効率は悪いし、BOMをどう作り活用するかが会社の成長速度にとても影響します。

例えば今、中小企業でもIT化の波が来ていますが、このBOMがちゃんと自社用に整備していなければうまくいきません。

よくある失敗はIT化をした時にそのITベンダーが持っていたBOMのひな形でIT化をしたら後で運営面で沢山問題が出てきて膨大な時間とお金を使って、そのBOMを作り直すという事です。皆さんの中にも今その問題に直面している方もいるかもしれませんね。

各会社によって運営方法が違ってきますので、最適なBOMも会社によって変わってきます。BOMに関する著書もあります、佐藤知一(ともいち)さんのブログでBOMをこう説明されています。

BOMとは、その生産システムのDNAである。BOMとは、製品がどの部品資材から成り立ち、どのような手順をへて組み上げられるかを規定する、生産の基準情報だ。生命がDNAの遺伝情報をもとに細胞や体を組み立てていくように、製造業は基準情報としてのBOMにしたがって、資材から製品を組み立てていく。」

<<佐藤知一さんのブログページ>>

https://brevis.exblog.jp/21277076/

ですから、この下の図の様にBOMが社内の全ての部署に関わってくるのです。

BOMの全部署との関わり

佐藤知一さんのブログページから:https://brevis.exblog.jp/21277076/

製造業でのBOMの活用例:設計BOM(E-BOM)の製造BOM(M-BOM)の違い

では製造業を例にこのBOMが実際にどう使われているのか学んでいきましょう。前述の様に部門毎にBOMがあった方が良いのですが、実務では最初はメインのBOMを併用し、必要な属性を加えていく方が効率的です。

しかし製造業の様に扱う部品数が膨大で運営業務も複雑な会社では、設計、購買、製造、販売、サービスと部門ごとに目的と使われ方が違うBOMが発達してきました。代表的なBOMは設計BOM(E-BOM)、製造BOM(M-BOM)、販売BOM(S-BOM)、購買BOM、サービスBOMなどです。

設計BOMは前述のラーメン屋の例でも触れましたが、商品開発・設計段階で使い、商品毎に使用する部品の仕様や技術情報の属性を持つ部品表です。この段階で新商品などの新しい部品を採用しますので、この部署が新部品情報をBOMに登録します。

その商品設計と設計BOMを基に生産技術部が生産工程設計をし、どの様にこの商品を作っていくかの情報が入った製造BOMを作成します。この製造BOMが生産スケジュールや生産指示の元情報になったり、リードタイムの短縮を図るために使われたりします。

設計BOMと製造BOMの違い

部署間の連携をうまくやる為のBOM(部品表)

この流れで設計BOMや製造BOMを基に他の部署が自分達に必要なBOMを作り、更新をしていくのです。

会社ではこの様に大きなプロセスの中で各部署がつながっています。各部署の連携をうまくやらないと必ず後で問題になるのです。この時にBOMが大事な役割をし、逆に言うと各部署の連携をうまくやる為に有効な各種BOMを整備した方が良いのです。

例えば商品設計のところで、設計部が何でも好きな物を設計し、商品を作らせ、売らせる事はできません。他の部署、例えば生産技術部や購買部から担当者が来て、できるだけ早く、安く、高品質なものを作れるようにそれぞれの立場からすり合わせをするのです。

この時に各担当者は自分のBOMを持ってきて、それを土台に話し合うので、効率的にこの作業ができるのです。

BOM(部品表)を使った業務改善事例

また、僕ら業務改善の専門家にとって、このBOMを分析する事で色んな改善のヒントが得られます。

例えば、購買BOMから購買量が少ない業者から買っている部品を他の業者から買うなど、業者と購買部品を整理してコストを下げるプロジェクトはよく行われます。

また製造情報と売上情報がBOMで繋がっていないとリアルタイムでの各部品の原価率や在庫数が出てきません。もしその様な状況であれば、その整備をするのはすぐにやりたい改善プロジェクトなのです。

BOMが生産システムのDNAと話しましたが、このBOMが社内の共通言語になり、ITシステムではこのBOMが直接マスターデータベースになります。社内にある問題がBOMの不具合で起きている事も多々ありますので、ぜひ一度自社でBOMがちゃんと整備されていて有効に活用されているか見直しをしてみて下さい。

「こちらの記事も読まれてます