トヨタの調達方針とKEIRETSU戦略【トヨタ生産方式】

トヨタでは創業間もない1937年に14条からなる「購買係心得帳」を作っています。その中の第四条からトヨタの購買の方針を学びます。そしてトヨタの「共に成長する」戦略が英語圏でKEIRETSU戦略として研究/実践されています。

トヨタの調達方針とKEIRETSU戦略【トヨタ生産方式】

(動画時間:5:51)

 

トヨタの調達方針、「購買係心得帳」第四条から

 

こんにちは、リーンシグマブラックベルトのマイク根上です。

 

今日はこの動画リクエストからです。

 

トヨタの調達の仕方動画リクエスト

「トヨタはどの様にしてベストの仕入先を選んでいるかの動画を作ってくれないか?」

 

Ludwig、リクエストありがとう。「仕入先の選び方」と言うよりは「仕入先の育て方」になると思います。

 

トヨタは自動車製造会社ですが、実際にはほとんどの部品を購買してそれを組み立てています。ですので完成品の値段や品質はそれを調達する購買部に大きく委ねられています。

 

そこでトヨタでは創業間もない1937年に14条からなる「購買係心得帳」を作って今でもその精神を引きついています。その中の第四条に今日のご質問の答えが書いてありますので紹介します。

 

トヨタの「購買係心得帳」第四条1

<第四条>「購買先の選定には特に注意を払うこと。各方面にアンテナをめぐらし、他に優秀なところがないかどうかを常に研究しておくこと。1部品に対してはなるべく2ヶ所に注文することを原則とする。」

引用先:元トヨタマンの目:http://blog.livedoor.jp/aoki1162201/archives/51172436.html

 

1部品に対して2ヶ所に注文することは非常に理にかなっています。1ヶ所ではそこが供給出来なくなった時に困りますし、2ヶ所あれば品質やコストをいつも比べることが出来ます。

 

3ヶ所以上にしないことはトヨタの「共に発展する」という信念や後で話しますKEIRETSU戦略によるものです。この業者との長い良い信頼関係がトヨタの高品質と成長を産んでるわけです。第四条は更に続きます。

 

トヨタの「購買係心得帳」第四条2

「ただし、止むを得ない場合には、部長の許可を得た上で、1ヶ所または3ヶ所とする。1ヶ所の場合は、出来るだけ早く、他の適切な購買先の選定に努力すること。」

引用先:同上

 

これで「1部品に対して2ヶ所注文」を組織的に徹底させているのが分かりますね。第四条はまだ続きます。

 

トヨタの「購買係心得帳」第四条3

「3ヶ所以上の場合には、なるべく従来の注文先に迷惑のかからないように特に注意しながら、値段が高く、不良が多いところへの注文を順次減少させていって差し支えない。」

引用先:同上

 

トヨタの米国の部品メーカーからの評価は一番

 

これからもトヨタが業者を非常に大切にしているのが分かりますね。その裏づけをご紹介します。

 

米国の調査会社が毎年部品メーカーの自動車会社に対するアンケート調査をしています。その調査結果を見てみましょう。

 

自動車会社評価アンケート結果

引用先:https://www.industryweek.com/supplier-relationships/gm-rising-nissan-falling-new-supplier-relations-survey

 

これは米国での話ですが、「部品メーカー信頼関係指数」で、赤の線グラフがトヨタで、2009年と2010年にホンダが一位になりましたが、それ以外は常に部品メーカーからの評価が全米で一位です。

 

トヨタが一番部品を高く買ってくれるのでしょうか?そんなことはないです。値段に関しては一番厳しい方です。ではなぜ部品メーカーからの評価が高いかを探ってみましょう。

 

前も紹介しましたが、ジェフリー・ライカー著のザ・トヨタウェーから多くを学ぶ事ができます。⇒「トヨタ生産方式とは?トヨタ生産方式の全体像」

 

共に学び、成長する戦略、KEIRETSU戦略

 

トヨタウェイ P202

「トヨタでは新しい業者にはいつも慎重で最初は少量発注しかしません。しばらく、品質、コスト、配達についてのトヨタの求めている高い基準に対するその会社の姿勢やコミットメントを見定めていき、良ければ少しずつ発注量を増やしていくのです。」

引用先: “The Toyota Way” by Jeffrey Liker (マイク根上翻訳)

 

どこの会社も仕入れコストは安くしたいです。安いからと言っていきなり新しい業者に発注先を変えたら今まで付き合ってた業者は辛いですよね。そういう事をよくやる会社とは良い信頼関係など築けません。トヨタではその様な行いはしませんし、反対に既存の業者をとても大切にします。

 

トヨタウェイ P202 b

「トヨタが全ての取引業者に提案している事は共にビジネスを成長させて、相互利益を長期的に持てる機会である。社内の従業員の様に業者も成長しトヨタ生産方式を学んで延長した家族になるのです。」

引用先:同上

 

例えばトヨタではかんばん方式を使った「必要な物を、必要な時に、必要な量だけ」生産/調達するジャストインタイムを実現しています。⇒「JIT ジャストインタイムとは?かんばん方式と同じではないです【トヨタ生産方式】」

 

部品メーカーからの入荷がその入り口になるわけですが、そこで在庫を多く抱えるわけにはいきません。ですのでトヨタは部品メーカーに値段や高品質だけでなく、ジャストインタイム配達も要求するのです。

 

一日数回配達は当たり前で、部品メーカーにとっては、そんな事を普通にやってたら利益など出ないです。トヨタのえらいところは外部の業者にもトヨタ生産方式の専門家を送って改善プロジェクトを実施して利益が出る体質になるように徹底指導までしているのです。

 

更にすごいのはこの他社での改善活動の経験を自社の改善にも活かしているのです。この様にしてトヨタは取引業者と良好な信頼関係を築き、共に学び、成長する戦略を創業以来続けています。

 

日本で「系列」というとあまり良い印象はないですが、この戦略を英語圏では「KEIRETSU Strategy」と呼んでいます。トヨタの世界的な成功と貢献によって、このKEIRETSU戦略が多くの業界や企業で研究/実践されているのです。

 

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