トヨタが開発した標準作業票の書き方【エクセルテンプレート】
トヨタには「かんばん方式」や、「一個流し」など色んな有名なツールや手法が有りますが、それらの効果の現場への落とし込みをこの「標準作業票」で行なっています。この標準作業票をトヨタではどう使っているかと、そのテンプレートの書き方を説明しています。
(動画時間:5:57)
ダウンロード ←これをクリックして「標準作業票」エクセルテンプレートをダウンロード出来ます。
タクトタイムを実務で活かす、標準作業票とは?
こんにちは、リーンシグマ、ブラックベルトのマイク根上です。
業務改善コンサルをしています。
先日タクトタイムの動画に対してこういうリクエストを頂きました。
「標準作業のテンプレートを作って、それを紹介してくれないか?」
標準作業とはトヨタが確立した手法で、
「タクトタイム、作業順序、標準手持ち」の三要素からなり、
「標準作業票」という名前で各作業場で使われるものです。
今回は前回よりも更に詳しい内容になりますので、
タクトタイムの記事をまだ読まれてない方は
そちらを先ず読んで頂けたらと思います。
⇒「タクトタイムの基本と実務での使い方(計算方法)【トヨタ生産方式】」
トヨタには「かんばん方式」や、「一個流し」など
色んな有名なツールや手法が有りますが、
それらの効果の現場への落とし込みをこの「標準作業票」で行なっています。
後でお見せしますが、「標準作業票」を作成するためには
「標準作業組合せ票」を作成する必要があるし、
その「標準作業組合せ票」を作成するためには
「工程別能力表」を作成する必要があります。
ちなみにこの三つの票を標準作業3点セットと呼んでいます。
一つずつ見てみましょう。
標準作業3点セットの紹介
1. まずは、「工程別能力表」を作成
トヨタでは最初に「工程別能力表」を作成します。下図がその一例です。
ストップウォッチを持って現状の作業手順と
実際の手作業時間や機械の稼動時間、
そして一定時間での各生産個数を記録した書類です。
これによりボトルネックとなる問題工程を確認出来るのです。
2. 次に「 標準作業組合せ票 」の作成
次の図が「標準作業組合せ票」で「工程別能力表」を基に作成します。
各工程の手作業時間、機械稼動時間そして歩行時間を図式化して
それと標準時間であるタクトタイムと比べるのです。
どこをどれだけ改善しなければならないかが明確になります。
そして歩行のムダや、作業員や機械の待ちのムダを削減し、
安全で一番効率の良い手順に改良していくのです。
3. 最後に「 標準作業票 」の作成
最後に今日のテーマの「標準作業票」を作るのです。
この下図の様に設備の配置や人の動きと作業内容を明示しています。
標準作業の三要素である「タクトタイム・作業順序・標準手持ち」もこの資料に書きます。
トヨタでの「標準作業票」の使い方
最後の「標準作業票」が一番重要です。
トヨタでは一ヶ月毎に生産量を見直すのですが、
この「標準作業票」も一ヶ月毎に更新します。
全作業場毎ですので大変な作業です。
それでもトヨタはやっているのでこの「標準作業票」を大変重要視しています。
現場の監督者がこの票を作り、管理します。
そして現場を巡回して全作業者に
この標準作業を徹底させることが肝なのです。
更に定期的にこの「標準作業票」を改定していくので
その度、 標準作業が改善されていく事になります。
これを全社的にやっているのですからやっぱりトヨタは特別な会社です。
「サイクルタイム測定」テンプレートを使って「標準作業票」を作成する。
前述した様に「工程別能力表」と「標準作業組合せ票」での分析をして
「標準作業票」を作成出来れば改善効果はかなり高いです。
しかし、僕らが独学でやるにはちょっとハードルが高いですね。
そこで今回は「標準作業票」のテンプレートだけは作りました。
ダウンロード ←これをクリックして「標準作業票」エクセルテンプレートをダウンロード出来ます。
最終的に標準化された作業をそれに書くわけですが、
別のやり方をご紹介します。
以前サイクルタイムを測定出来るテンプレートを作りました。
それで工程の平準化まで出来ますので
現状のプロセスを分析し、改善を実施します。
その後に「標準作業票」テンプレートに改善されたプロセスを記録すると良いでしょう。
「標準作業票」テンプレートの使い方
ダウンロード ←これをクリックして「標準作業票」エクセルテンプレートをダウンロード出来ます。
下図が標準作業票のテンプレートです。
その右側に使い方が書いてあります。
最初に左の欄に改善したプロセスの各ステップを記入します。
各ステップは作業番号を持ちます。
次に設備記号をコピペして設備の配置をします。
その設備の名前を記入しても良いでしょう。
コントロールキーを押しながら図形をドラッグすると簡単にコピー出来ます。
次に人の動きに合わせて作業番号を配置します。
そして作業番号順に実線の矢印で繋ぐのです。
最終番号とステップ1は破線矢印で繋ぎます。
下の方にに三つの特殊な記号があります。
品質チェックが必要なステップにこのダイヤ記号を、
特に安全注意が必要なステップにこの十字の記号を、
標準手持ちを持つステップにはこの黒丸の記号を付けて明示します。
これで標準作業の3要素の一つの作業順序の出来上がりです。
最後に他の二つの要素の標準手持ち数と
タクトタイムを下に記入して出来上がりです(下図参照)。
この手法は世界のトヨタが作ったものです。
それを全てやるのは難しいかもしれませんが、
標準作業票だけでもなんとか作ってみましょう。
それが改善への第一歩になります。「標準の無い所に改善無し」ですから。
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