タクトタイムの基本と実務での使い方(計算方法)【トヨタ生産方式】

この記事はトヨタ生産方式のタクトタイムの基本とその実務での使い方についてです。特にトヨタでどう使われているかを紹介していて、タクトタイムは「標準作業」の三要素のうちの一つなのです。その「標準作業」についても詳しく説明しています。

タクトタイムの基本と実務での使い方【トヨタ生産方式】

(動画時間:4:19)

 

トヨタ生産方式のタクトタイムとは?

 

こんにちは、リーンシグマブラックベルトのマイク根上です。

 

以前業務フローのサイクルタイムを計って業務の平準化についての動画を作りました。⇒「業務フローのサイクルタイムの計り方と平準化の仕方【エクセルテンプレート】」

 

リーンシグマではもう一つ似た言葉でタクトタイムがあります。タクトとはドイツ語で「拍子」や「指揮棒」の意味です。タクトタイムはトヨタが作った造語で工場全体が一定のリズムで作業が出来るようにする為に考え出された手法で、作業員が一つの物や作業をどれぐらいの速さで作ったり、行えば良いかの標準時間を言います。

 

そして、その速度は会社の都合で決めるのではなく、顧客のニーズから導きなさいと言われています。計算方法は:

 

タクトタイム=一日の稼働時間÷一日のその商品の売れる数

 

となります。この稼働時間には待ち時間や、休憩時間を除いた純粋な作業時間です。例えば稼働時間が8時間で売れる数が1000ならば480分 (8時間)÷1000でタクトタイムは28.8秒になります。つまり一つを28.8秒で作りなさいということです。

 

トヨタではタクトタイムをどう使っているか?

 

上記の事は色んな本やウェブサイトでも言われていますが、このタクトタイムを実務でどう使うのかはあまり書かれていません。やっぱり産みの親のトヨタでどう使われているかから学んでみましょう。

 

<<トヨタ公式サイトのトヨタ生産方式の歴史のページ>>

 

上のリンクはトヨタの公式サイトのトヨタ生産方式の歴史のページです。その中の「標準作業の設定」のところで、

「1953年、効率的な生産のやり方として、タクトタイム、作業順序、標準手持ちからなる標準作業を設定。」とあります(下図参照)。

 

トヨタの「標準作業の設定」のページ

 

各作業場の「標準作業」を設定したという事ですが、もっと大事なのは「標準作業」の設定には必ず「タクトタイム、作業順序、標準手持ち」の三要素を明記する決まりを決めたことです。

 

「標準作業」の三要素:「タクトタイム、作業順序、標準手持ち」

 

この「標準作業」は本当に重要で、トヨタは色んな有名なツールや手法が有りますが、それらの効果の現場への落とし込みをこの「標準作業」で行なっています。

 

「作業順序」

 

先ず、「作業順序」から話します。これは、SOP(標準作業手順書)と同じ事です。その作業場で行う一番安全で効率的な作業手順が書かれたものです。作業品質を向上させます。

 

「標準手持ち」

 

「標準手持ち」とはその作業場で作る仕掛品をどれだけ持つことが出来るかの適正数です。作業場毎に少な過ぎず、多過ぎない数を会社の方で決め、各作業者にそれを徹底させる事で、在庫の無駄を回避出来るのです。

 

「タクトタイム」

 

最後に本題の「タクトタイム」ですが、最初に会社全体のタクトタイムを求めましたね。しかし、作業状況が違うので各作業場のタクトタイムを設定する必要があります。概念的には計算式は前述したものと同じです。その計算結果を参考にはしますが、最終的には会社側で決めるものです。

 

タクトタイムとサイクルタイムの関係

 

作業場のタクトタイムが標準作業速度になり仕掛品を一つ作るのにどれくらいの速さで作らなければいけないのかの時間です。これに対して実際に作業した作業時間をサイクルタイムと言います。

 

タクトタイムとサイクルタイムの関係で、タクトタイムよりサイクルタイムが速ければ在庫が増えてしまうし、サイクルタイムが遅ければ欠品が出てしまいます。ですから全作業者がタクトタイムでの一定の速度で作業するように指導する事が重要です。

 

「標準の無いところに改善無し。」と言う格言が有ります。「標準作業」でそれを設定するのです。特にこのタクトタイムを実践する事で工場全体に一定のリズムを作り、ムリ、ムラ、ムダを削減し、平準化を実現するのです。

 

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