工程FMEA(故障モード影響解析)すぐに実践【エクセルテンプレート】
工程FMEA(故障モード影響解析)とは考えられる問題を全て洗い出してその問題を未然に防ぐ為のツールです。どう実施するのかをエクセルテンプレート上で実演をしています。早速テンプレートを使って工程FMEAを実践して下さい。
(動画時間:4:48)
ダウンロード ←これをクリックして「工程FMEA」エクセルテンプレートをダウンロード出来ます。
FMEA(故障モード影響解析)とは?
こんにちは、リーンシグマ、ブラックベルトのマイク根上です。
今日は久しぶりにリーンシグマの話題で、故障モード影響解析の話です。英語でFailure Modes and Effects AnalysisですのでFMEAとも呼ばれます。
カイゼンプロジェクトで新しい商品やサービス、業務フローを設計した後にこのFMEAを実施します。DMAICでは改善段階の初期で行います。より成功の確率を上げる為に、設計の段階でこのFMEAで考えられる問題を全て洗い出してその問題を未然に防ぐ事が出来るのです。
元々は1950年代に米国陸軍が開発して、失敗の許されない航空業界や製造業で使われ始め、今ではリーンシグマによって多くの業界で使われています。
サービス業務改善プロジェクトでも勿論使えます。多くの時間と経費を掛けていたり、失敗が許されないプロジェクトではぜひ実施して下さい。これもテンプレートがありますので、難しくないです。
工程FMEAのテンプレートの使い方
製造業で使うFMEAはいくつか種類がありますが、今日はサービス業務改善にも使える「工程FMEA」を題材にします。
工程FMEAテンプレートの右側に実施手順が書いてあります(上図参照)。テンプレートのA列は設計されたプロセスの各ステップ名を書く欄です(下図参照)。
故障モードのリストアップ
B列にそのステップで起こり得る不具合を列挙します。通常これを「故障モード」と呼びます。工程FMEAの場合は「不具合モード」と呼んだ方がしっくりきますね。
以前ヒューマンエラーについての動画を作りました。
作業者の不具合を書くのにすごく参考になりますので上のリンクをクリックして見てみて下さい。ヒューマンエラー以外でも使う道具や装置、環境的要因の故障モードも書いて下さい。
「深刻度」を数値化
次に「それが起きた時の影響」を考え隣のC列に書きます。書いた答えによって各故障モードの「深刻度」を数値化出来るのです。通常のFMEAでは1から10ですが、このテンプレートは簡易版ですので、1から5の数値を入れて下さい。5が一番深刻です。
「発生度」を数値化
次にその不具合が起こる「考えられる原因」を書き込みます。これは次の「発生度」を書き込む為です。これも1から5で数値化するのです。一番発生度が高いのが5になります。
「検知度」を数値化
次に「現状の予防策」は有るのか、また有れば、その予防策を書き込みます。これにより各故障モードが発生した時にそれを検知するのがどれだけ難しいのかの「検知度」を1から5で数値化出来ます。一番検知され難いのが5になります。
「深刻度」×「発生度」×「検知度」=「リスク優先度」
「深刻度、発生度、検知度」を入力すると「リスク優先度」の列にその三つを掛けた数値が出てきます。この数値が高いほど優先度が高いのです。故障モードが沢山あれば優先度が高いものから対処した方が効率的です。ですので、全ての故障モードを列挙し終えたら一度この列の降順で並べ替えをして下さい。
対処策を考え実施する
そして、優先度の高い上の故障モードから「薦める対処策と実施期限」そして「担当者」をJとK列に入力して各担当者に対処策を講じてもらいます。実施後報告をしてもらい、「実施された予防策と日時」をL列に入力するのです。
故障モードを再評価し必要なら追加処置も
ここまで実施したら、かなりの予防策を講じた事になりますが、PDCAサイクルのPとDをしただけです。対処策を確実なものにする為にCのCheck段階も行いましょう。
実施後報告を記録したら再度「深刻度、発生度、検知度」を評価し直して「リスク優先度」を見ます。更なる対処が必要ならそれを備考欄に書いて実行しましょう。
お分かりのように、この一枚の紙の上で効果的なPDCAサイクルを回す事が出来るのです。以前リスクマネジメントのテンプレートも紹介しました。それとこのFMEAは似ています。
前者はプロジェクトマネジメントのリスクマネジメントで今回のは設計したプロセスのリスクマネジメントだと理解して頂けたらと思います。
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