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不良削減で一番大切な事を「なぜなぜ分析、特性要因図」で見つけてみる。【エクセルテンプレート】

    
不良削減で一番大切な事を「なぜなぜ分析、特性要因図」で見つけてみる。【エクセルテンプレート】
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不良削減で一番大切な事を「なぜなぜ分析、特性要因図」で見つけてみる。【エ...

クレームがほとんど無いと言う青梅市にある武州工業株式会社の林会長からの会社の不良、不具合を生まない会社をどうお作りになったかをご紹介し、なぜなぜ分析、特性要因図テンプレートを実演し、不良削減で一番大切な事を分析していきます。

(動画時間:10:07)

ダウンロード ←これをクリックして「なぜなぜ分析・5-How分析テンプレート」をダウンロードできます。

なぜなぜ分析で、不良削減の仕方を研究する

こんにちは、リーンシグマ、ブラックベルトのマイク根上です。
業務改善コンサルをしています。

僕がお世話になっている方が
「カイゼン・オンラインの会」と言うのをやられていて、
僕も月に一度の勉強会に参加させてもらっています。

前回の勉強会で不良削減が話題になり、
そして衝撃的な多くの為になる話を聞きましたので、
今日はそれを皆さんにシェアーしたいと思います。
会の皆さんにはその許可を頂いています。

そのお話の主人公は東京都青梅市にあります
武州工業株式会社の林英夫会長です。

武州工業の会社概要

https://www.busyu.co.jp/ja/company/

この会社は製造業で創業70年、従業員数が150名ですが、
驚く事にその平均年齢が35歳という若さです。
これだけでも秘密が沢山ありそうですね。

その林会長がこう言われたのです、
「弊社ではお客さんまでいく不具合が年に一回あるかないかですね」
と、優しく簡単に言われていましたが、
これだけの大きさの会社でクレームが
ほとんどないなんて、驚異的です。

その理由を知りたくて、参加者全員から質問攻めにされていました。
その時の林会長の言葉をご紹介し、
その後にどのようにして、
不具合が生まれない会社をお作りになったかを
ここで分析をしてみようと思います。

これは今ある結果の原因を見つける作業なので、
ずいぶん前にご紹介した
「なぜなぜ分析・5-How分析」テンプレートが使えます。

「なぜなぜ分析・5-How分析」テンプレートの再ご紹介

なぜなぜ分析・5-Howテンプレートブランク

これがそのテンプレートです。
なぜなぜ分析と言ってもメインはQC7つ道具の特性要因図で、
その形状から「魚の骨図」とも言われます。
⇒「特性要因図となぜなぜ分析の4ステップの使い方【エクセルテンプレート】」

そして、右側に使い方が書いてあります。
手順1で、結果が分かってて原因を見つけたい時は
セルQ8で「なぜなぜ分析」を選びます。

逆にその反対方向の課題があって
その解決方法を見つけたい時は
こっちの「5-How分析」にします。
するとその手順書の内容が変わってくれます。

5-How分析をする時

この「5-How分析」は日本語圏ではあまり馴染みがありませんが、
「どのように(How)、どのように(How)、どのようにやる(How)」
と続けて考えていく事で多くの解決案を出して
それを後でグループ分けをして正式な解決策を作る手法です。
それにもこのテンプレートが使えるのです。
⇒「なぜなぜ分析:5 How分析:アイデアを出し整理する【エクセルテンプレート】」

話を「なぜなぜ分析」に戻します。
次の「分析する問題は何か?」で今回は
「なぜ武州工業では不良品が少ないのか?」と入力します。
すると隣の特性要因図の魚の頭の黄色いボックスにそれが出てきます。

今回のなぜなぜ分析の議題

次にその問題がなぜ起きるのか、
「なぜ、なぜ、なぜ」と考えていき
「考えられる原因」を下の表に全て書き込んでいきます。
これがなぜなぜ分析なのです。
今回は参加者が沢山質問をして
林会長が答えて頂いた言葉を書き込みます。

それがこれです:

なぜなぜ分析の結果例

QC7つ道具の特性要因図で問題の本質を見つける

なぜなぜ分析で考えられる原因を
列挙しただけでは使い物になりません。
それから根本原因や問題の本質を理解する事で
次のアクションが打てるようになります。
その為に特性要因図を使うのです。

それを次に実演をして
「なぜ武州工業では不良品が少ないのか?」
の本質的な答えを見つけましょう。

似た者同士でグループ分けをする。

最初にさっき出てきた
「考えられる原因」をグループ分けします。
似た者同士で同じ番号を隣のQ列に入れていきます。
(上図参照)

最初はいつも1ですね。
次のものは似てないので2です。
3つ目は2つ目と似たものなので2を入れます。

この様にして全てに番号を入れてから、
そのQ列で並べ替えをすると似た者同士が集まるので、
それを見てグループ名を付けるのです。
今回は「指導方法」と「工程管理」というグループにしました。
(下図R列参照)

特性要因図前のグループ分け

各項目のテキストボックスを作る。

次に特性要因図内で使う
各項目のテキストボックスを作ります。
このテンプレートではこの「テキストボックス自動作成」
ボタン(上図、セルP18近辺)をクリックすると、
自動で全項目のボックスを作ってくれますので作業が早くなります。

今回は後で僕の分析を加えますので、
この林会長のボックスをハイライトしておきます。
シフトキーを押しながらボックスを選ぶと、
まとめて色を変えられます。
(下図参照)

シフトキー+クリックで複数選択

ボックスが小さいので手で広げます。
それを全てでやったのがこれです。

特性要因図の一時的な配置

上が「指導方法」のグループで、
下が「工程管理」のグループにしました。
今回は他の中骨が要らないので消しちゃいます。

各ボックスを原因と結果の関係で繋げていく

次に各ボックスを原因と結果の関係で繋げていきます。
少しやってみましょう。
今回の勉強会で僕が一番驚いたのは林会長の次の言葉で、
「会社は社員を怒らない、お客に怒ってもらう」でした。

これはちょっと意味が分からないですね。
ですので林会長に「一作業員がミスをして
それが原因でクレームになった時に、
その作業員はお客からどう怒られるのですか?」と聞きました。

そしたら「その作業員も一緒にお客に謝りに行かせるのを
徹底させています」と言うのです。
これにはまた驚きましたね。

補足を入れて全てのボックスを原因と結果の関係で結ぶ

とりあえずその二つは原因と結果の
関係ですので繋げておきます。

特性要因図作成0

これが会社のルールだと分かったら
一作業員と言えども自分が会社を背負って
仕事をするんだという気持ちになりますよね。

しかしよく考えるとそれを実際に
徹底させるのはものすごく大変です。
ここで僕の補足を入れると
「不良が出た事を放置せず、
その原因者を特定する仕組みがある」事が必須になります。
(下図、上から二つ目のボックス)

特性要因図作成1

それによって「社員の責任感とオーナシップ、
遣り甲斐が生まれる。」のです。
これらが全て仕組みで出来上がってるのがすごくないですか?
(上図、一番上のボックス)

この様に全てのボックスを原因と結果の関係で繋げて
僕の分析した補足を加えたのがこれになります。

特性要因図完成図

最初は「指導方法」と「工程管理」とグループ分けをしてましたが、
今回は無い方がうまく繋げられると判断し、
全てを一つの中骨としました。
この様に原因と結果で繋げていくと自然と出来上がっていきます。

H2武州工業のなぜ不良品が少ないかの本質的な理由が明らかに

もう一度確認です。
オレンジ色のボックスが林会長のお言葉で、
白が僕の補足です。次の流れを見てみましょう。
(上図で左下から右上に向かって読んでいきます。)

「全新入社員が一番難しい作業を一番最初に練習する。」
これも驚きでした。
普通は新人には優しい仕事から教えますよね。
それとは全く逆に一番難しい溶接の仕事を
文系も理系も関係なく全新人が研修を受けるそうです。

一番難しい事を経験すれば後は簡単に思えるし、
誰もが他の人の仕事ができる基盤になると仰っていました。
それによって「社員は多くの事に挑戦ができて、
自己の成長を実感できる。」でしょう。

仕組みとして「先輩は後輩にOJT
(On the Job Training)で仕事を教える。」ので
「人に教える機会が増えると更に
多くの事を深く学ぶことができる。」のです。

それにより「作業員は多能工で
製品の全工程の責任を持つ。」ようになります。
次もすごいのですが、「生産計画を立てず、
ノルマも与えず、受注量を与える。」そうです。

これは全作業員が自分で生産計画を立てて
納期に責任を持つ事を意味します。
これは会社にとってものすごいリスクですが、
最初の流れの、強い高い意識を持った人材が
土台にあるのでできるのです。

次も林会長のお言葉ですが
「内の社員は皆ラーメンの屋台の店主になる。」という事です。
これは皆さんラーメン屋を始めるというわけでは勿論ないです。(笑)

屋台の店主は接客から全て一人で
責任をもって仕事をしますよね。
武州工業さんでは社員全員がその様な気持ちと
仕事のやり方を毎日されているのです。

これによって「高い技術と責任感を持った
従業員が沢山育っている。」ので
「不良品が出ない会社になっている」のです。

他にも沢山やられていますが、
これだけ見ても、なぜこの会社に若い従業員が
沢山集まってくるのか理解できますね。

今日の動画タイトルは
「不良削減で一番大切な事は?」でしたが、
一言で言うのは難しいですね。
敢えて言うと、僕の見解は
「従業員に権限を委譲して成長してもらう」
という事にさせて頂きます。
皆さんはどう思われましたか?

この度は武州工業の林会長、それと
カイゼンの会の高木さん、眞嶋さん、本当に感謝致します。

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