SIPOC分析とVSM(バリューストリームマッピング)を効率よくやるコツ
SIPOC分析をしてVSM(バリューストリームマッピング)をしますが、完璧なSIPOCを作る必要はあるのか、やもう少し説明がほしいと聞かれます。バリューストリームマッピングをうまくやるコツを書いています。
(動画時間:3:57)
<<バリューストリームマップ動画シリーズ>>
- 第一話:フローチャートの前にまず物と情報の流れ図(VSM)を書こう【トヨタ生産方式】
- 第二話:SIPOC分析の仕方: 業務フローを超最短で理解する【エクセルテンプレート】
- 第三話:5ステップス、物と情報の流れ図(バリューストリームマップ)の書き方【エクセルテンプレート】
- 第四話:物と情報の流れ図の使い方:8つのムダ分析でムダの徹底排除【エクセルテンプレート】
- 第五話:← 現在この記事
バリューストリームマッピングのためのSIPOC分析が未完成でも良いの?
こんにちはリーンシグマブラックベルトのマイク根上です。
今日は対象フローのSIPOC分析をしてバリューストリームマッピングをやる時に実際に起こったことを話します。
先ず最初にそれから学んだ教訓を書いておきます。
1) 完璧なSIPOCを作る必要は無い。
2) バリューストリームマッピングを進めていくにつれて現実的になっていく。
3) SIPOCよりバリューストリームマッピングの方が大事。
これが今回のSIPOC分析です。完成していませんね。僕のSIPOC分析をする目的は大抵バリューストリームマップを作るためです。ですので、バリューストリームマップを作れる程度にプロセスを理解出来たのであればSIPOCが未完成でも構わないのです。さらに、もし対象フローをよく知っていれば、直接バリューストリームマップを作っても良いのです。時間の節約です。
バリューストリームマップを作っていくと、視覚的に対象フローを考えますので、どんどん現実的なものになっていきます。自分のバリューストリームマッピングで、SIPOCではあまり議論になってなかった購買業務をもっと明確化しないといけないことが分かってきました。この様にSIPOCと違ったものになることも多々あります。
SIPOCよりバリューストリームマッピングの方が大事
また、見る方もSIPOCでは対象フローをよく理解出来なくても、バリューストリームマップでよく理解出来るようになります。実際のプロジェクトで新業務フローを設計するのにSIPOCを作った時は僕のクライアントはその設計で良いと言ってたのです。
彼女は出来上がった作品のコストを知りたいので、その為には全ての原材料のコストと実際に制作で使った各原材料の量を細かく記録する様なフローだったのです。バリューストリームマップを作って彼女に見せたら、その設計をより良く理解が出来て、そしたら「こんなめんどくさいことは出来ない」と言い出したのです。
残念と思うよりも、バリューストリームマッピングをして良かったと実感した瞬間です。もしこれをやらずに時間を掛けてプログラムが完成して、その後にこれを言われたらたまったものじゃありませんから。
また「私はアーティストだからインスピレーションで作品を作るので、前もって細かくデザインをエクセルなんかに入力するなんて出来ない」とも言われました。このことはプロジェクト憲章を作った時に制約条件としてありましたので、このことで論争をすることなく、別のアプローチを模索しました。⇒「【プロジェクト憲章ケーススタディ】改善プロジェクトのメンタリングプログラム開始【メンタリング】」
プランBとして、原材料をグループ分けして、もっと大雑把にコスト管理をすることで管理の負担を減らしました。各作品一個ずつのコストは出せませんが、各制作バッチの平均コストなら出すことが出来ます。ですから各デザインを前もって記録する必要もありません。
バリューストリームマッピングをし直して彼女に説明しました。そしたら、今までコストの見当もつかなかったので、平均でも出てきただけでもありがたいと言うのです。ちなみにこれが最終的なバリューストリームマップです。
このバリューストリームマップはSIPOC分析とは大分違うものになりました。SIPOC分析を書き直す必要はありません。このバリューストリームマップを設計図としてオペレーションシステム開発に進めます。
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