DILO (Day In the Life Of) 「とある一日」作業分析法【エクセルテンプレート】
DILOは英語の「Day In the Life Of」の訳で日本語では誰々「のとある一日」という感じで、DILO業分析法は「改善対象業務の作業者に一日中張り付いて作業を観察/記録する事」を体系化した手法です。このDILO作業分析法で使えるテンプレートも作りましたので、このDILO作業分析法を活用してみて下さい。
(動画時間:5:50)
ダウンロード ←これをクリックして「DILO作業分析」エクセルテンプレートをダウンロード出来ます。
DILO「Day In the Life Of」とWILO「Week In the Life Of」とは?
こんにちは、リーンシグマ、ブラックベルトのマイク根上です。業務改善コンサルをしています。
今日はこの動画リクエストからです。
「DILO/WILOについての説明と実践例をお願いできないでしょうか?」
Akiさん動画リクエストありがとうございました。
DILOやWILOは聞きなれない言葉ですね。メジャーなのはDILOで、英語の「Day In the Life Of」の訳で日本語では誰々「のとある一日」という感じですね。要は「改善対象業務の作業者に一日中張り付いて作業を観察/記録する事」です。
「なんだ、単に現場を見る事じゃん。」と思われますが、それを効果的により良い結果を出すための手法がDILO業務分析法なのです。
さらにWILOですがこれは英語の「Week In the Life Of」の訳で誰々「のとある一週間」という事でさっきのDILOを一週間続けてやる事です。
多くの会社の業務は一週間サイクルで行われていますので、全体最適化を達成するにはWILOを実施した方が良いのです。
しかし、さすがに丸一週間付きっきりはきつい場合は代表的な一日を選んでその日にDILOをやり、残りの一週間は聞き取りや要所の作業を観察をするでも良いです。一週間の全体の流れをより把握する事が大事なのです。
DILO (Day In the Life Of) の一つ目の目的:ベストプラクティスを見つける
DILOの進め方はそれをやる目的によって変わってきます。一般的にDILOをやる目的は二つあり、一つ目は「優秀な作業者のベストプラクティスを学んで標準作業を作るため」です。
会社では同じ仕事を複数の人がやっています。その中で必ず他の人より上手くやっている人達がいるものです。その人達は各自違ったベストプラクティスを持っています。
僕ら業務改善の専門家の強みはその人達から別々のベストプラクティスを学んで今までにない効果的な標準作業を体系化できる事です。そしてSOPを作り、全社に展開する事はリーンシグマではよくやります。
僕も仕事でこれをしょっちゅうやっていて、普段から優秀な従業員は誰でこの手法が使えるプロジェクトが出来ないかは常に考えています。
この目的でDILOをやる時は観察をしながら「何をやっているか」だけでなく「なぜそれをやるのか、なぜその手順でやるのか」等の質問をして理由や作業の本質を理解する事が重要です。
DILO (Day In the Life Of) の二つ目の目的:作業の問題や改善点を見つける
DILOの他の目的は「作業の問題点や改善点を見つけるため」です。どっちかというと一般的なDILOの目的はこっちですね。改善対象業務の作業者の中で標準的なレベルの作業者を選びます。
その人が出社してから一日の終わりまでの作業を観察して、その行動を全て紙に記録します。先ほどとは違ってあまり質問をせずに普段やっている様に作業をしてもらう事が重要です。簡単な質問やその人じゃないと聞けない質問以外はメモ書きをして後で管理者に聞いて下さい。
DILOの実施手順
この二つ目の目的でやる時の実施手順はこうです。DILOの対象作業者を事前に決めてその上司にDILOを実施する許可をもらいます。その作業者にもDILOをする意義や手順をちゃんと説明しておきましょう。
DILOはその人が出社した時から始まりますので、ちゃんと出社時間も聞いておきます。僕も前の会社でDILOをやった時に対象者がタイムカードを押していきなり休憩に入ったのを見てびっくりした事があります。
DILO業務分析エクセルテンプレートの使い方
改善点を見つけるDILOで使えるテンプレートを作りましたのでそれで見てみましょう。⇒「DILO作業分析」エクセルテンプレートをダウンロード。
クリップボードにこのテンプレートをつけて、製造業務の場合はストップウォッチを持っていった方が良いです。それでは観察開始です。
新しい作業を始めたらその開始時間を書きます。その作業名や作業内容、そして問題点や疑問点など何でも書いていきます。次の作業に移ったらその開始時間を記録して、その前の作業の作業時間を書いていくわけです。
価値・無価値分析を同時にやる。
一番右に「価値無価値分析」とあります。これについては以前「8つのムダ分析でムダの徹底排除」の動画でも話しました。⇒「物と情報の流れ図の使い方:8つのムダ分析でムダの徹底排除【エクセルテンプレート】」
各作業に価値があるかどうかを判断するわけです。価値があるかどうかの基準はただ一つで「その作業にお客さんはお金を払いたいかどうか」です。
価値は英語で「Value-Added」なのでVA、無価値は「Non-Value-Added」なのでNVAをいれて判断して下さい。
無価値作業として「8つのムダ」も参考になります。列挙すると、不良を作るムダ、作りすぎのムダ、手待ちのムダ、加工のムダ、運搬のムダ、在庫のムダ、動作のムダと、従業員の創造性を使わないムダです。⇒「リーンシックスシグマは8つのムダ 【DOWNTIMEで覚えましょう】(トヨタ生産方式)」
この8つのムダは限りなくゼロにしたいです。しかし無価値作業には必要なものもあります。それらはゼロにできなくても出来る限り削減したいです。どのようなムダなのかも記録しておきましょう。
正直DILO作業分析は時間と労力もかなりかかります。しかし、現場を理解して、改善のヒントを多く見つけることが出来るので、とても効果のある手法ですので改善プロジェクトの初めの段階で実施すると良いでしょう。
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