なぜなぜ分析を使った業務改善事例【サービス業での活用編】
なぜなぜ分析は問題の根本原因を見つけられる手法で、サービス業でも強力なツールです。それをどの様に業務改善に使うかを、実際に筆者が行ったサービス業の業務改善コンサルの実例を通して、ご紹介してます。なぜなぜ分析で根本原因が分かるとその解決策も出し易くなります。
(動画時間:8:29)
業務改善は困っているところから始める。
こんにちは、リーンシグマ、ブラックベルトのマイク根上です。
業務改善コンサルをしています。
前回の青梅市の武州工業さんとのコラボ動画の中で、
⇒「中小企業でのデジタル化DXの仕方【PowerAppsとAI の活用事例取材】」
相談役の林さんから、業務改善はどこから始めるか?
「困っているところから始めなさい。」
というありがたい話がありました。
その後、他のクライアントさんにその事を話して
「何かお困りな事がありませんか?」と聞いたら、
「実はあるんですよ」という事になり、
業務改善コンサルをする事になりました。
それを業務改善フレームワークのDMAICを使って
一日で解決できたので、
今日はその体験をお話しします。
特になぜなぜ分析がキーでした。
そのクライアントさんは匿名希望で、Aさんとします。
Aさんはリスクマネジメントコンサルをやっていて、
代理店として損保の賠償保険も多く販売しています。
その保険のお客さんの会社で損害が出て、
それを保険会社に報告をし、
幸い保険が出るとの返事だったらお客さんは喜びますよね。
しかし問題はしばらくして、
保険が出ないと判断が変わる事が、
稀ですが、起きると言うのです。
その場合は勿論お客さんに迷惑がかかり、
その他の全ての契約も解約される最悪な結果になります。
これは一方的に保険会社が悪いのですが、
代理店としての予防策を作るのが今回の課題です。
業務改善のフレームワークDMAICを使って問題を解決する。
業務改善プロジェクトの内容を定義する「定義段階:プロジェクト憲章」
業務改善のフレームワークのDMAICの
最初の「D」は英語の「Define」で定義段階です。
「プロジェクト憲章」を作成し、
今回の業務改善プロジェクトを定義します。

上図が実際に作成したプロジェクト憲章です。
今回は僕とAさんだけでやったので大事な所だけを記入しました。
それは「背景と状況」と「プロジェクト内容」の欄です。
その文字の各横に説明が書いてありますが、
「背景と状況」(上図セルB5参照)には
なぜこれをやることになったか?
どんな問題が、誰にどのように影響しているのか?
という事を書いて、
このプロジェクトをやるようになった理由を明確にします。
「プロジェクト内容」(上図セルB7参照)では
何をするのか?どのプロセスが対象か?
会社の方針との関係は?
という質問への答えを書いていきます。
この二つの欄を埋める事で
僕もこのプロジェクトで何をしなければ
いけないのかが分かってきます。
今回の目標は保険会社の保険支払いの結果が
後で変更になる事を防ぐ予防策を立案する事です。
繰り返しになりますが、一方的に保険会社の問題で
代理店の立場でできる事があるのでしょうか?
さあ、どうでしょう。次のステップに進みましょう。
業務データ(情報)を集めて現状を把握する「測定段階」
DMAICの次の段階は「Measure」の測定段階で、
ここで現状を把握します。
本来なら業務データを集めて統計的な分析をしますが、
今回は数値データはありません。
そこで、実際に過去に起こった問題の事例と
問題が無かった時の事例を4つずつ書き出しました。

上図が実際にホワイトボードに書き出した画像で、
その8つの案件で下記の項目を書き出しました。
- 各案件毎に報告方法、
- 損害課の担当者とその上司、
- 有無責の判断、
- 賠償対象
これだけで問題の出る共通点は見つかりませんでしたが、
僕はこれで状況を深く理解する事ができました。
問題の根本原因を見つけ、解決策を立てる「分析段階」
次のDMAICのステップは「Analyze」の分析段階です。
ここで各種分析をして問題の根本原因を見つけて
新しい業務フローの設計し、実施します。
この時に有効なツールが「なぜなぜ分析」なのです。
「なぜなぜ分析」は問題の原因を考え、
出てきた答えに更に「なぜ?」と投げかけていき、
根本原因を見つけていく作業です。
やり方はシンプルで、実際にそれをやっていき、
それをホワイトボードに書き込んでいきます。

上図が実際にやった画像ですが、
原因究明をする質問の
「なぜ判断誤りが起きたのか?」から出発しました。
Aさんは保険会社の担当者の経験不足、知識不足から
この問題が起こるのだろうと考え、
保険会社に彼らのトレーニングを要請していましたが、
なかなか実施してもらえなかったという事です。
しかし、この作業をしていて、
有無責の判断は担当者一人の判断ではないので、
担当者の経験不足は関係ない事が分かりました。
問題の焦点は保険のルールブックである「約款」にある事が分かってきて、
要は保険会社の有無責に関する約款の解釈が
最初と後で変わったというのが実情らしいです。
問題があった案件で該当する約款を実際に検証しましたが、
どの文章を使うかによっても判断は変わるし、
主語と目的語が何なのかがはっきりしない事もあり、
それによって判断が後で変わる事は十分あり得るのです。
ですので、「なぜ判断誤りが起きたのか?」の根本原因として
「保険会社の該当する約款の解釈が最初と後で変わった」
と結論付けました。
根本原因が分かるとその解決策も出てきやすくなります。
その解決策として次の3つを出しました。
・案件の事故がどの約款のどの文章に該当するのか、またその解釈の仕方も確認する。
・ それを損害課と確認し、そのやりとりを電話ではなく全てシステムに入力し、メールで残す。
・ 上席も最初の判断に同意しているのを確認する。

問題を解決する新業務フローの設計と実施をする「改善段階」
次の四つ目の段階が「Improve」で改善段階です。
通常業務の中でこの解決策を漏れなく行える
新しい業務フローを設計するまでやるのが
DMAICなのです。
その為には現状の業務フローを明確にする必要があります。
そこで業務分析ができるSIPOC分析をしました。
⇒「SIPOC分析とは?エクセルテンプレートで直ぐに始めよう。」
下図がその作業をした画像です。

この分析では各業務ステップ(上図内「P」)で
必要な情報(上図内「I」)とその供給者(上図内「S」)、
そして、そのステップから出てくる情報(上図内「O」)と
それを受け取る受給者(上図内「C」)を明確にする事で、
次の下図のような物と情報の流れ図を書く事ができるのです。

この流れ図によって、対象業務フローを俯瞰的に理解できます。
⇒「バリューストリームマップの書き方(物と情報の流れ図)【エクセルテンプレート】」
この業務の中で先ほどの解決策を
どう実現させるかまで落とし込めたので
かなりの改善効果が期待できます。
実際にクライアントのAさんから次のお言葉をもらいました。
「何もスキルのない私でも
根上さんのヒヤリングと解決に導くテンプレートを駆使して、
いとも簡単に分析してもらえるのでびっくりしました。
SIPOC分析やDMAICを進めることにより、
問題の本質が浮かび上がって根本原因が
明確になる事を実感させていただきました。」
このプロジェクトは約4時間で完了しました。
なぜなぜ分析は強力な業務改善ツールです。
皆さんも実践してみて下さい。
もし僕がお手伝いできる事があれば下のリンクからお問合せ下さい。
「こちらの記事も読まれてます。」