適正在庫からの適正発注量の計算の仕方【サンプルファイル付】
適正在庫と発注量の計算の話です。それには発注頻度、リードタイム、安全在庫量そして一日あたりの在庫使用見込み量が必要です。適正発注量の計算方法を説明し、なぜそれが正しい方法なのかをシュミレーションをして説明しています。
(動画時間:6:07)
ダウンロード ←これをクリックして「適正発注量計算」サンプルファイルをダウンロード出来ます。
適正在庫の定義は?過剰在庫の弊害
こんにちは、リーンシグマ、ブラックベルトのマイク根上です。
業務改善コンサルをしています。
前回の動画が「先入れ先出し」についてでした。
その中で適正在庫量を維持する事が大事だと話しました。
⇒「FIFO: 先入れ先出しを徹底させる四つのポイント【在庫管理】」
在庫量に関しては何度も他の動画で触れてますが、
ここで過剰在庫の弊害をまとめてみます。
- まずは無駄な出費。在庫は持っているだけなら何の収益にもなりません。
- 在庫管理の人件費や電気代、倉庫代などの管理費が増える。
- 陳腐化や品質劣化による在庫ロスのリスクが増える。
- 見える化の妨げになり問題の早期発見が出来なくなる。
- 倉庫の整理整頓の妨げになり、誤発注の原因になる。
この様に過剰在庫が有っても良い事は何も有りません。
敢えて言えば、欠品での売上ロスの可能性を減らせる事位です。
これも過剰にする必要はありません。
以上から、適正在庫量とは「欠品が出ない最低量」となります。
これが基本的な考え方です。
適正在庫の計算は発注方法によって変わる
次に適正在庫量の計算方法の話です。
適正在庫の計算は発注方法によって変わる事をご存知ですか?
発注方法は大きく分けて、発注する時期が決まっているか不定期か、
そして発注する量が決まっているか不定量かで変わってきます。
どの会社も売れる量が常に一緒という事は無いですので、
定期定量発注をしている会社は無いです。
その反対に不定期に不定量で発注している会社はあるでしょう。
しかしこの方法の多くは計画性がない為にこうなっているのです。
全体最適化を考えた時にこれは効率的ではありません。
その他の方法に移行するのをお勧めします。
不定期定量発注は今の在庫量がある一定の在庫量になった時に
決められた量を発注するやり方です。
すごくシンプルなやり方なのでこれを実施している会社は多いでしょう。
しかし急激な売上や使用量の変化に対応し難く
定期的にその固定発注量が適正かどうかの点検は必要です。
比較的に価格が安く、品質と価値の劣化が少ない商品ならこのやり方は良いです。
もしそうでないなら次の定期不定量発注に移行をするのをお勧めします。
毎週とか毎月などの決めた時期に発注しますので、定期的に入庫します。
ですので自分も他の部署も作業計画を立て易くなります。
全ての関係部署にとって一番都合の良い頻度を選んで下さい。
発注量を決める為に現在庫量や今までの入庫量を記録したり、
計算をする手間は必要になります。
適正発注量の計算に不可欠な四要素
次にその定期不定量発注方法の適正在庫量の計算の話をします。
それを求めるには次の四つの要素の数値が必要です。
- 発注頻度、
- リードタイム、
- 安全在庫量
- 一日あたりの在庫使用見込み量です。
発注頻度は多くなればなるほど必要在庫量は少なく出来ますが、
その分手間やコストが上がります。
発注先の受注/発送の都合も関わって来ますので、
全てを考慮して適正な頻度を決めて下さい。
リードタイムは今日発注したらいつ入荷するかの日数です。
安全在庫は何日分か少し余計に持っておく在庫量です。
誰も未来を予測出来ません。予想よりも売れてしまったとか、
入荷が遅れてしまったと言う事はよくあります。
それが起きても欠品を防ぐための在庫量です。
発注頻度とリードタイムが長くなればなるほど
安全在庫はもっと必要になります。
安全在庫は統計的に求める事も出来ますが、
最初は多めにとって、だんだん減らして決めると良いでしょう。
発注頻度、リードタイムそして安全在庫はどれも単位は何日分や何週間分などの期間です。
適正発注のシュミレーション
下の図は縦軸が何日分の在庫量、横軸が時間の経過を表します。
例えば発注頻度が14日、リードタイムは7日
そして安全在庫は14日としましょう。
すると全て足した35日分の在庫が適正在庫になるのです。
それを量や金額に変換したければ
一日の使用量や売上原価で掛ければいいのです。
では、なぜこの発注頻度、リードタイム
そして安全在庫の合計が適正在庫量になるのでしょうか?
少ないと思われた方もいたでしょう。
実際にシミュレーションしてみましょう。
例えば、今日が発注日で0日目です。
もし現在庫が適正在庫の35日分以上あれば今回は発注しなくていいのです。
次の発注日の14日目まで在庫が減っていきますね。
ここで適正発注量も簡単に計算出来ます。
適正在庫量に現在庫量を引いた量を発注すれば良いのです。
少な過ぎるのではと感じた方もいたでしょう。続けましょう。
リードタイムの一週間後までにいつもより売れたとします。
しかし安全在庫があるので欠品はしませんでした。
発注量が入庫し、在庫が増えます。
また一週間後に適正在庫量からその時の在庫量を引いた量を発注するのです。
これを続けていくとどの商品も適正在庫量内に収まっていくのです。
計算式を学習出来るようにサンプルファイルを作りまし た。
下記のリンクでサンプルファイルもダウンロード出来ますので
具体的にどういう計算をしているか確認してみて下さい。
その中に使い方も書いてあります。
⇒「適正発注量計算」サンプルファイルをダウンロード。
「こちらの記事も読まれてます。」



