データ分析によるPDCAサイクルの回し方【事例紹介】
データ分析の目的は対象業務フローのPDCAサイクルを効果的に回す事であり、その分析結果を見て次の具体的な行動を促す事です。具体的なエクセル画面を実務でPDCAサイクルを効果的に回せるようにする方法を説明しています。
(動画時間:5:00)
データ分析でPDCAサイクルをどう回すのか?
こんにちは、リーンシグマ、ブラックベルトのマイク根上です。業務改善コンサルをしています。
前回の動画でこれから作るオペレーションシステムで要求されている機能を書き出しました。これがそれです。⇒「なぜなぜ分析:5 How分析:アイデアを出し整理する【エクセルテンプレート】」
大きく六つの要求項目があります(水色のボックス)。今日は各項目をどうやって達成するかを見ていきましょう。
データ分析の基本:アクショナブルにする
このオペレーションシステムは既存データを有効活用する事が目的なので、データ分析の基本を先におさらいします。データ分析の目的は:
- 対象業務フローのPDCAサイクルを効果的に回す事であり、
- その分析結果を見て次の具体的な行動を出来る限り促すものにする事です。これを英語でアクショナブル(Actionable)と言います。
クライアントの彼も後でこう言っていました。「PDCAサイクルで問題が小さいうちに見つける事が出来るし、毎月アクションプランを作る流れを作る事が出来た。」ですからこれから作る全ての画面がアクショナブルになる様にするのが目標です。
この事を踏まえて要求項目をどういう画面にするのかを一つずつ考えていきましょう。
1)PDCAサイクルのエンジン:「ダッシュボード」
一つ目は「ダッシュボード」です。車のダッシュボードの様にその対象業務フロー内の重要なKPIが一覧になっている画面です。ちなみにダッシュボードと似た言葉でスコアカードが有ります。使う目的も似ていますが、スコアカードは通常目標値と実際値が並んでおり、目標に対する進捗度も分かるものです。
これが今回作ったダッシュボード画面です。これを見ただけで現在の会社がどういう状態か、またもし悪ければどの部分が問題なのかが一目で分かるデータを集めています。この下のチャートに各顧客群の昨年対比と先月対比が出ています。彼にとってはこれが特に重要だからです。
この画面を毎月月初に更新し、結果のレビューを下のセクションに書きます。もう一つ重要な事は、先月に書いた行動計画と実際に実施した事を振り返り先月の反省をする事です。それらを踏まえて今月の行動計画を書き込むのです。この画面が、まさに彼のPDCAサイクルのエンジンなのです。
2)「目標設定」
二つ目は「目標設定」で、これもダッシュボード内にあり、昨年対比で20%アップで出ています。
3)「外部への報告書」
三つ目が「外部への報告書」とあります。これは商品の販売委託をしている小売店に提出するものです。これもアクショナブルが重要で、これを見た店舗の彼らにどんな行動を期待するのかを基に設計をします。
今回はこれを見た担当者に自社の商品がどれだけ売れているのかを一目で理解してもらうのが目的です。ですからシンプルに折れ線グラフだけです。これが営業員の強い武器になります。
4)「試飲販売の管理」
四つ目が「試飲販売の管理」です。この会社は小売店舗で試飲販売を定期的に行なっています。この表で各店舗の自社の商品在庫が切れそうになる時期を水色のハイライトで示しており、その時期が試飲販売をする時期を示しています。
5)「顧客の格付け」
五つ目が「顧客の格付け」です。単に売上が大きいだけではなく、色んな角度で自社への貢献度を測って優先順位を付けます。この画面でそれをしました。どの会社も経営資源に限りが有りますので、このリストでその資源を効果的に配分出来ます。また、そこから自社の理想の顧客層が見えますので、他のどの顧客に伸びしろが有るかが見えてきます。
6)「支払回収管理」
最後が「支払回収管理」です。回収の問題の発見が遅ければ遅いほどその解決が難しくなります。その早期発見が出来る画面を作りたかったんですが、残念ながら充分に必要なデータが揃ってなかったので、今回のプロジェクトの範囲から外しました。
この様にユーザーの使う画面を決める事と、それに必要な元データが揃うかを最初の段階で確認する事が重要です。つまり最後と最初を先に決めるのです。
これでPDCAサイクルを回す為のユーザー画面が決まりました。次に進む前に利害関係者にこれらの画面を見せて了承を得ておきましょう。
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