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従業員の満足度を高くする社内転職制度(社内公募制度)と米国の転職事情。

    
従業員の満足度を高くする社内転職制度(社内公募制度)と米国の転職事情。(職務給と職能給の違い)
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従業員の満足度を高くする社内転職制度(社内公募制度)と米国の転職事情。

従業員満足度の高い米国では社内転職制度(社内公募制度)が普及しています。まず米国での活用状況を紹介し、従業員、管理職、会社全体の各層でのメリットを説明し、日本で社内転職制度を導入する為のヒントを話しています。

(動画時間:8:46)

日本の従業員満足度は主要国で最下位の現実

こんにちは、リーンシグマ、ブラックベルトのマイク根上です。
業務改善コンサルをしています。

突然ですが、皆さん、または皆さんの従業員は
仕事で満足されていますか?
僕は次の記事を見てビックリしたからです。

仕事の満足度国別ランキング

引用:World Economic Forum, https://www.weforum.org/agenda/2020/06/job-satisfaction-global

このグラフは仕事に対する満足度の
主要国での国別ランキングです。
グラフ内で日本は10位となっていますが、
記事によると調査対象の34か国中最下位だという事です。
日本での満足度が42%という事は
半数以上の人が不満足という事ですね。
僕は米国在住で、米国での満足度は78%と非常に高いです。

僕は米系の会社で働いているので今日は
日米の会社運営の違いで何が従業員の満足度に
大きく影響をしているかを考えてみます。

これが皆さんの会社で満足度が上げられるヒントになればと思います。

明白ですが、仕事に対して満足度が高いとモチベーションが高く、
イノベーションが起こり易いです。
もちろん、満足度が低いとその逆の事が起きますね。

ですので、僕の会社では自社で毎年従業員の満足度調査をしていて、
従業員満足度を上げる多くの施策をしています。

その甲斐があって、最近の結果を見ましたら、
満足度は86%という、全米平均より高い結果でした。

従業員満足度を上げる社内転職制度(社内公募制度)とは?

その多くの施策の中で僕が一番効果があると
思っているのは社内転職制度です。

日本では社内公募制度とも言われていますね。
こっちではそれが定着してもう会社の文化になっていますので、
ここでは社内転職制度と呼びます。

どういう制度かと言いますと、
全ての部署で、エントリーレベル以上の求人をする時に
最初に社内で告知をして、まず、
社内の人材を採用するのを優先する事です。

これは会社の方針だし、
全管理者もその方が良いと理解しています。

そして、毎月人事部から他の部署で
どの様な求人募集があるかが分かる
エクセルファイルが従業員に送られます。
従業員はそれを見て今より良い部署や職種があれば
それに申込み、履歴書を送り、
面接を受ける社内転職活動をするのです。

「えっ、それって、人材の引き抜きじゃないの?
取られた方は怒るんじゃないの?」
と思われるかもしれませんね。
しかし、それが大丈夫なのです。

さっきも言いましたが、
これが会社の文化になっていますので、
引き抜きされる方の上司も、
自分が同じ様に社内転職で来ているので、
自分の部下が栄転していくのを快く思うのです。

空いたポストは同じ様に社内転職で直ぐ
見つければ良いと思うだけです。

また、この状況が管理職達が自分の部下を
大事にしようとする大きなモチベーションにもなっています。

実際に周りを見ると知っている人の部署がよく変わっていたり、
新顔がいても、他の遠い部署から来た人ばかりです。
最近社内転職で来た同僚はスキルの幅を広げる為に
異動ができて良かったと言っています。

従業員、管理職、会社にとっての社内転職制度のメリット

この制度では従業員、その上司、また
会社全体にとって全ての層で良い事が起こります。

従業員のメリット

従業員は今の仕事や人間関係に不満を持って会社を辞めたり、
我慢しながら働くのではなく、
自分で社内の別の仕事を見つける機会を多く持てるのです。

不満を強く持つ前に他の良い機会を持てるので、
結果的に会社全体での満足度が上がるのです。
また、今の仕事環境が将来悪くなっても
社内転職の機会がある事が分かっている事で、
ものすごく高い安心感を持てます。

上司、管理職のメリット

次に彼らの上司、管理職から見たらどうでしょう。
一見、部下が頻繁に変わって大変そうですが、
社外で求人をするよりも社内求人は手続きは簡単だし、
候補者の評判を採用前により正確に知る事ができるので
採用で外れを引く事がありません。

また応募者は会社と会社の運営の仕方を
もうすでに知っているので
トレーニングに掛かるコストは
社外採用よりもはるかに低くできます。

と言うよりも、初日から即戦力になる事が多いです。

会社全体のメリット

最後に会社全体で見た時に、
社内での人材の流動性が上がり、
多くの人の満足度が高くなるので、
良い人材が社外に流出する事が少なくなります。
その流動性によって、自然と社内の適材適所が進みますし、
従業員は多くの新しい仕事の機会が増えますので、彼らが成長し、
また、社内のノウハウが至る所で共有されるので

会社の成長に寄与します。
しかも、全体の採用/研修コストは
低くなるので良い事尽くしなのです。

日本との違いと社内転職制度を導入するには

この社内転職制度は人事異動の一形態ですね。
日本の辞令による人事異動との決定的な違いは、
社内転職制度は従業員からの立候補ですが、
辞令の人事異動は上司や会社が決定する事です。

しかし、前述の様な社内転職制度ほどの利点は
辞令による人事異動にはないと思います
が、どうですか?
更にその辞令が栄転だったとしても
従業員の不満に終る事もあるでしょう。

そこで最近では日本でもまずは社内公募制度として
導入する企業が増えているそうです。

しかし、その前に必要な環境整備が出来ていないと
社内転職制度まで定着するのは難しいと思います。
その必要な環境整備を次に考えてみたいと思います。

まず第一に必要な環境は、
「同一労働同一賃金」である事です。

これは中小企業でも去年から法律で義務化がされましたね。
法律の順守だけを目的としないで、
これによって将来従業員満足度を上げる施策に繋がると、
ポジティブに捉えて頂ければと思います。

社内転職制度で「同一労働同一賃金」が必要な理由は、
求人する仕事内容と責任が決まっているのに
採用した人によって給料が変わる状態では、
不公平であるという問題が常に出てきます。

そして、そのうちしがらみのない外部の人間を
雇った方がいいなとなってしまいます。

この「同一労働同一賃金」は単にパートや
派遣社員の給料を上げれば良いという問題ではありません。
どういう事でしょうか。

今まで日本の多くの会社は「職能給」で、
各従業員のこなせる仕事量と勤続年数で給与が決っていました。

ですからできる人に多くの仕事が集まっていたでしょう。
これは仕事を人に割りつけていたのです。

しかし、これからはその「職能給」から
「職務給」に移行する必要があります。
現在の社内の仕事の職位を整理して、
その仕事の価値と責任の重さで給与が決まるのが「職務給」で、
そして適材の人を各職位に割りつけるのです。
これによって本当の「同一労働同一賃金」になるし、
その環境になって初めて持続可能な「社内転職制度」が始められるのです。

同一労働同一賃金の本質

その社内の仕事の整理をするのに
職務分析とジョブディスクリプションの作成が最初の第一歩です。
実はそれについての動画とテンプレートを以前作りました。
⇒「ジョブディスクリプション(職務記述書)の作り方と職務分析【エクセルテンプレート】」

今日は従業員満足度を高く維持するためには
社内転職制度が有効だという話をしました。
米国では社会全体で転職がし易い環境であるので、
国全体で適材適所が進み、仕事に対する満足度が高いのでしょう。

この日米の違いを考える事で
今後の会社運営をするご参考になればと思います。

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