ジョブディスクリプション(職務記述書)と人事考課は人材育成のPDCAサイクル
「責任と権限を明確にするツールは何か?」の答えはジョブディスクリプション(職務記述書)です。職務記述書は人材の採用時だけ使われるのではなく、これを基に各職位のKPIを作り、こ年間での人事考課で使うのです。
(動画時間:5:08)
「責任と権限を明確にするツールは何か?」→ジョブディスクリプション(職務記述書)
こんにちは、リーンシグマ、ブラックベルトのマイク根上です。業務改善コンサルをしています。
今回はこんな質問を頂きました。
「どの会社でも課題であり、話題にあがるのが、各人の責任と権限がはっきりしていないということです。何か、責任と権限を明確にするツールはないでしょうか?」
はるひささんご質問ありがとうございました。
今回は一つのツールだけで解決できる内容ではないですね。ですから日米の人事制度の違いについても話します。
「責任と権限を明確にするツールは何か?」の答えはジョブディスクリプションでしょう。日本語では職務記述書です。これは文字通り各職務についての内容を細かく書いた書類です。
人材採用時の職務記述書にはあまり権限の内容は入れませんが、社内資料としてそれを加えれば良いと思います。
ジョブディスクリプションの効用
日本ではあまり馴染みが無いですが、アメリカでは見た事のない社会人はいません。なぜならば就職する前に必ず自分の職務記述書を読むからです。
僕も今の会社に来る前の転職活動をした時に100件以上の職務記述書を読みました。それには職務の概要、具体的な内容、求められるスキルや資格が細かくA4用紙一枚にびっしり書いている量です。読むだけで大変です。
しかし、読んでいくうちにどんな仕事を自分はやりたいのか、それに必要でどんなスキルや資格が自分に足りないかも分かってきます。
日本では各個人に仕事を割振る文化ですが、欧米では必要な職位を設定してそれに必要な人材を探す文化です。企業側も職務記述書を作る事で求めている人材像を明確に設定しますのでより必要な人材の獲得の成功率は上がります。
職位毎に職務記述書を作りますし、一度作ってしまえばその後は繰り返し使えます。次回の動画でその作り方を詳しく説明します。
近年、日本では「同一労働同一賃金」が多く議論されてますね。それを実現するにはこの職務記述書は必須になるでしょう。
人事考課の仕方
この職務記述書は人材の採用時だけ使われるのではありません。これを基に各職位の業務評価基準、KPIを作れます。各項目は必ず計測可能なものにして下さい。これを年間での人事考課で使うのです。
僕の会社では年度始めに管理職も含めた全従業員は今年のKPIを受け取ります。そして半年後に上半期評価をします。上司が一方的にKPIを評価するのではなく、従業員の方が先に自己評価をして、上司に自分の業績をアピールする機会が有ります。それを見て上司は上半期評価を下し、各従業員と個別面談をし、その評価を伝えます。
これはまだ上半期なので、残りの半年でどうやって目標を達成させるかは勿論、何か問題が無いか、どんな会社のサポートが必要か、長期的にどうやって自分のスキルを上げていくかなども話し合うのです。
年度末の最終評価では上半期と同じような作業をします。しかしその評価は賞与や昇給に影響を与えるのです。
人事考課の重要な3つの点
ここで重要な点が三つあります。 まず一つ目は人事考課によってコミュニケーションが増えて上司と部下の関係が向上します。
二つ目が上司が部下を面接し評価する作業を持つことで上司の権威は上がります。それと同時に部下を成長させる責任の所在と達成度が明確になります。評価することが目的ではなく、部下を成長させる事が目的なのです。
三つ目は、この人事考課を効果的に行う事で人材育成のPDCAサイクルを回せるのです。会社が成長するには従業員の成長は不可欠ですね。
ですのでここでご自分の会社でどんな形であれ現在どうやって人事部門的にPDCAサイクルを回わしているかご確認下さい。もし上手く回していなければぜひこの人事考課を導入するのをご検討下さい。
最初はITなどを導入せずに紙とペンだけで始める事は可能です。これも次回の動画で話します。
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